インパク始末
「クールジャパン推進会議」の動きがなんとも気持ち悪いので、古い原稿をハードディスクの古層から召喚してくることにしました。2000年3月に今は亡き「噂の真相」誌のために書いた原稿(連載コーナー名は「無資本主義商品論」でした)です。
「クールジャパン」をめぐる人脈と利権の不明朗さは、このコラムの中で取り上げた「インパク」の周辺にうごめいていた様々な利権のありようと、なんだかとてもよく似ている気がします。
インパク:価格不明
最初にクイズをひとつ。
「インパク」とは何でしょう?①一九七二年公開の東宝映画「淫乱パクパク芸者」の通称②医療関係者の間で使われている符牒で、徹夜勤務を意味する「院内宿泊」の略③淫行条例違反でパクられること④二〇〇一年に政府が開催する「インターネット博覧会:楽網楽座」の略称⑤経済用語。インフレーション下における消費者の舶来品崇拝傾向⑥インターフェロンがらみの先物取引詐欺⑦テレビ業界用語で仲間内でのネタパクリ。正解は4。いや、確かに正解としてはあまりにダサ過ぎるけど、事実は事実だから。「政府がインターネット博覧会っていうのをやるらしいですよ」と、3月の半ばに業界の知り合いからこの話を聞かされた時、私は冗談だと思った。「いや、それが冗談でもないんで、告知のためのページもできてるんですよ」というそのホームページを見てみても、まだ信じられなかった。だってあんまりひどいデキだったからね。①ホームページのトップは、一画面まるまる堺屋太一とオブチさんの写真だけ②堺屋大臣は「インパク」という四文字がデカデカと表示されたノートパソコンを持ってニコニコ顔で立っている③隣のオブチさんは、そのノートパソコンの文字を指差してニコニコ(←「平成です」の自己パロディーだろうか?)④で、この国辱的トップページの下には、アイディア募集の告知とアイディア例(←あんまりショボくて写す気にもなれない)が列挙してあってそれでおしまい。質のショボさもさることながら、量的にも文字数にして原稿用紙三枚程度に過ぎない。って、おい、こんなものを本気にできるか? 仮にも政府の名において発表され、国民の血税を使って作られたページ(それもインターネットのアイディアを募集するページだよ)がこんな程度のものだなんてことを鵜呑みにすることができますか?でも、本気だったのである。数日後にそのホームページ(http://www.inpaku.go.jp)を覗いてみると、おっと内容が増えて(といっても、文字数にして原稿用紙十枚程度)いるではないか。そう、彼らは、本気なのだ。今後、この腐ったホームページをずるずるとふくらませて、そういうことで博覧会をひとつデッチ上げるつもりでいるのだ。推進するのは総理府の内閣総理大臣官房および新千年紀記念行事担当大臣堺屋太一。なるほど、ついにイベント屋の本性を出してきたわけだ。で、「新千年紀記念行事推進懇話会」のメンバーを見ると、案の定過ぎて笑えてくるのだが、電通、NTT、日テレ、京セラ、ソフトバンクといった情報関連産業の社長さんたちに、文化人(浅利慶太、俵万智、三枝成彰)の先生方だ。まあ、名古屋万博(これも堺屋太一がらみ)と違って、土建屋が関係してないことだけが救いといえば救いということになるのだろうが、考えてみれば、土建屋が儲からないのだとすると、このテのイベントがもたらす百害に対する一利である経済波及効果すら期待できないわけだ。だって、どうせ政府のサーバに屁みたいなホームページを作って、それを「パビリオン」とか呼ぶだけの話なんだし。それとも、こんなセコいイベントから何か利権が発生する余地があるんだろうか?イノセさん、取材してみませんか?というわけで、冒頭のクイズの正解は⑧インパクトを欠いたアイディアに訂正ね。
以上です。ではまた。
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コメント
歴史は繰り返すとはヘロドトスの言葉ですが、
確かに金の無駄遣いです
役人に取っては必須行事なんでしょう
投稿: これは省エネですね | 2013/04/04 10:50
んー…
③!!
投稿: MZ80K2E | 2013/06/14 06:31