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2013/04/04

鼻歌

ツイッターで話題が出たのでAsahiパソコン2007年(たぶん)エイプリルフール号のための嘘ニュース原稿をアップします。以前、一度アップしていますが、不完全なカタチだったので。

 JARASC、鼻歌に課金へ

 JARASC(遮断法人日本音楽著作犬協会)は、このほど管理部総会を開き、平成20年度をめどに鼻歌への全面課金を実施する決議を採択した。これにともなって、同協会では、具体的な課金方法、金額、徴収方法等について研究をすすめるべく、鼻歌対策作業部会を設置するとともに、より幅広い訴訟作戦の検討にはいった。
 JARASC広報部によると、鼻歌は一般に広く脳内再生されており、時には、不特定多数の聴衆に聴かせるメロディーとして演奏されている伝統的な歌唱形態だが、問題は、それが、長期間にわたって無料で再生、演奏、想起されてきた経緯であり、その利用形態の「気楽さ」にあるという。
 もっとも、鼻歌が、独立した作品として再生、利用されることは稀で、もっぱら、「楽しげな雰囲気」や「気楽なムード」を演出するためのツールとして利用される場合が多い。
 現在、論議を呼んでいるのは、「鼻歌まじりにおいでませ」をキャッチフレーズに、全国展開している「お気楽寿司」(本社京都市)の例だ。
 JARASC広報によれば、お気楽寿司では、鼻歌が「無断かつ大々的に」利用されており、しかも、板前たちによる鼻歌まじりの包丁さばきが、ひとつの営業の目玉になっている。
 そこで、JARASCでは、先月、同寿司チェーンに対して、管理著作物を繰り返し無断利用した件などで、鼻歌利用の差し止めと総額62万円余の損害賠償支払いを請求する訴訟を起こしている。
 
 なお、JARASCによれば、私的な鼻歌については「当該の著作権物が営利的に利用されていない限りにおいて」(同法務部)、これまで通り、無償で提供されるという。また、鼻歌の歌詞に関しては、発語が不明瞭である場合が多いため、当面、課金を見送る方針だという。
※鼻歌を守る市民の会代表六本木ひろし氏の話:「鼻歌は極めて個人的な歌だが、歌である以上『他人に聴かせないために』歌うものではない。JARASCはメロディーに名前が書いてあるというつもりなのだろうか」


楽しい雑誌だったんだけどなあ(遠い目)
 

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インパク始末

 「クールジャパン推進会議」の動きがなんとも気持ち悪いので、古い原稿をハードディスクの古層から召喚してくることにしました。2000年3月に今は亡き「噂の真相」誌のために書いた原稿(連載コーナー名は「無資本主義商品論」でした)です。
 「クールジャパン」をめぐる人脈と利権の不明朗さは、このコラムの中で取り上げた「インパク」の周辺にうごめいていた様々な利権のありようと、なんだかとてもよく似ている気がします。

 インパク:価格不明

 最初にクイズをひとつ。
 「インパク」とは何でしょう?
①一九七二年公開の東宝映画「淫乱パクパク芸者」の通称
②医療関係者の間で使われている符牒で、徹夜勤務を意味する「院内宿泊」の略
③淫行条例違反でパクられること
④二〇〇一年に政府が開催する「インターネット博覧会:楽網楽座」の略称
⑤経済用語。インフレーション下における消費者の舶来品崇拝傾向
⑥インターフェロンがらみの先物取引詐欺
⑦テレビ業界用語で仲間内でのネタパクリ。
 正解は4。いや、確かに正解としてはあまりにダサ過ぎるけど、事実は事実だから。
「政府がインターネット博覧会っていうのをやるらしいですよ」
 と、3月の半ばに業界の知り合いからこの話を聞かされた時、私は冗談だと思った。
「いや、それが冗談でもないんで、告知のためのページもできてるんですよ」
 というそのホームページを見てみても、まだ信じられなかった。
 だってあんまりひどいデキだったからね。
①ホームページのトップは、一画面まるまる堺屋太一とオブチさんの写真だけ
②堺屋大臣は「インパク」という四文字がデカデカと表示されたノートパソコンを持ってニコニコ顔で立っている
③隣のオブチさんは、そのノートパソコンの文字を指差してニコニコ(←「平成です」の自己パロディーだろうか?)
④で、この国辱的トップページの下には、アイディア募集の告知とアイディア例(←あんまりショボくて写す気にもなれない)が列挙してあってそれでおしまい。質のショボさもさることながら、量的にも文字数にして原稿用紙三枚程度に過ぎない。
 って、おい、こんなものを本気にできるか? 仮にも政府の名において発表され、国民の血税を使って作られたページ(それもインターネットのアイディアを募集するページだよ)がこんな程度のものだなんてことを鵜呑みにすることができますか?
 でも、本気だったのである。
 数日後にそのホームページ(http://www.inpaku.go.jp)を覗いてみると、おっと内容が増えて(といっても、文字数にして原稿用紙十枚程度)いるではないか。
 そう、彼らは、本気なのだ。今後、この腐ったホームページをずるずるとふくらませて、そういうことで博覧会をひとつデッチ上げるつもりでいるのだ。
 推進するのは総理府の内閣総理大臣官房および新千年紀記念行事担当大臣堺屋太一。なるほど、ついにイベント屋の本性を出してきたわけだ。で、「新千年紀記念行事推進懇話会」のメンバーを見ると、案の定過ぎて笑えてくるのだが、電通、NTT、日テレ、京セラ、ソフトバンクといった情報関連産業の社長さんたちに、文化人(浅利慶太、俵万智、三枝成彰)の先生方だ。
 まあ、名古屋万博(これも堺屋太一がらみ)と違って、土建屋が関係してないことだけが救いといえば救いということになるのだろうが、考えてみれば、土建屋が儲からないのだとすると、このテのイベントがもたらす百害に対する一利である経済波及効果すら期待できないわけだ。
 だって、どうせ政府のサーバに屁みたいなホームページを作って、それを「パビリオン」とか呼ぶだけの話なんだし。
 それとも、こんなセコいイベントから何か利権が発生する余地があるんだろうか?
 イノセさん、取材してみませんか?
 というわけで、冒頭のクイズの正解は
⑧インパクトを欠いたアイディア
 に訂正ね。
以上です。ではまた。

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