パックス・パックマン
昼過ぎに起床。
マニー・パッキャオVSアントニオ・マルガリート戦をWOWOWにてテレビ観戦。
しかしとんでもないボクサーですね。
フライ級からスーパーウェルター級まで、6階級制覇。途中を飛ばさなければ10階級。
体重差にして約19キロ。
パンチを当てる巧さはもしかして歴代のボクサーの中でもナンバーワンかもしれない。
以下、ボクシングの様々な側面について、私が実際に見た(といってもテレビだけど)範囲内で、個人的なナンバーワンを列挙してみる。
- ディフェンスの巧みさ:フロイド・メイウェザー:とにかく打たせない。やたらと速い。ボクサーとしての面白味には若干欠ける。でも技術は一級品。防御職人。
- 動きの美しさ:シュガー・レイ・レナード:ステップワークだとかパンチの出し方だとか、避けた後の身のこなしだとかが、うそみたいにきれいだった。あるいは、実戦的なボクシングの動きとしては実はあんまり有効じゃなかったのかもしれないが。でも、なんともエレガントでしたよ。見ていてうっとりしました。
- フィニッシュブローの威力:マイク・タイソン:決めにかかった時のパンチは本当に破壊的だった。ヘビー級としては異例なスピードの持ち主でもあった。あれほど圧倒的な力量を備えながら全盛期が短かったのは、アタマがワルかったせいなのだと思う。あるいは知能以前に人格が14歳だったのがいけなかったのかも。
- リードパンチの精密さ:モハメド・アリ:手打ちみたいに見えるのに、なぜなのか当たると破壊的だった不思議なジャブ。フットワークとコンビネーションブローの華麗さも革命的だったが、なによりカリスマ性が一ボクサーの域を超えていた。兵役前(カシアス・クレイ時代)のスピーディーかつ流麗なスタイルも魅力的だったが、改名後のトリッキーな戦略的ボクシングも面白かった。おまけに詩人で男前。パーキンソン氏病は、やっぱり打たれ過ぎたことと関係があるのだろうか。パンチを耐える精神力も異常だった。
- ワンパンチの破壊力:ジョージ・フォアマン:ジョー・フレイジャーを一撃で倒したフックは文字通り殺人的だった。神が降りてきてから後は、若干クレバーなスタイルに転向した。無論、往年の強さは無かった。
- 目の良さ:ナジーム・ハメド:上体だけでパンチを避けるのが得意。奇跡みたいなスウェーバック。そして異様な角度から繰り出される悪夢みたいなパンチ。空前絶後。進化の袋小路的ボクサーですね。
- 肉体の見事さ:トマス・ヒットマン・ハーンズ:ミドル級時代の上半身はまるで彫刻みたいに美しかった。フリッカージャブの破壊力も破格。打たれ弱かったことが試合をスリリングにしていた。
- バランス:マーベラス・マービン・ハグラー:攻守一体。完璧なガードを保持しつつ、あらゆるパンチをすべての角度から繰り出すことができた。スタミナ、勇気も一流。一時期は面白味が感じられないほど強かった。
- 頑丈さ:ムスタファ・ハムショ:岩石男と呼ばれた。ハグラーとの試合は凄惨の一語。こんな人間もいるのだなあと思った。
- ハンドスピード:ヘクター・カマチョ:相手が弱っている時とかに撮影用のネタみたいにして繰り出す連打は、本当にこの世のものとは思えないほど速かった。有効であったのかどうかは別問題。あれだけ速ければ見世物として通用する。
- 凶暴さ:ロベルト・デュラン:ライト級時代の強さは別格。ボクサーとしてはもしかして荒削り過ぎるのかもしれないが、殴り屋という分類があるのだとしたらたぶんパウンド・フォー・パウンド史上最強。
その他、色男のアレクシス・アルゲリョとか、一瞬だけえらく強く見えたドナルド・カリーとか、地味で強くて報われなかったラリー・ホームズとかぜひランキング入りさせたいボクサーもいるのだが、今日のところはここまで。
表題は、パックス・ロマーナ(ローマの平和)のパクりです。パックマン一極支配によるボクシング世界の静寂、ぐらい。パックマンの語尾をラテン語でどう変化させれば良いのかわからなかった。
それにしても、パックマンの看板は、そろそろ掛け替える時期にきているんではなかろうか。
「パッキャオだからパックマン」というこの語呂の安易さに、東洋人への軽い蔑視のようなものを感じるのは私だけではないはずだ。
トップランク社の偉い人たちも、こんなに強くなったんだから、そろそろもう少しリキの入ったニックネームを考えてやるべきだと思うぞ。
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