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2008/07/20

歌詞カード

 iTunes Storeでお買い物。
 覗くだけのつもりだったのが、ふと気づくと5000円ほど買い込んでいる。ヤバい。これは宝のヤマ――というよりも、新たな散財ポイントになりそうだ。用心せねば。
 iTunes Storeは日本版がオープンしたばかりの頃、ひと通りまわってみたのだが、その時点では、まだまだ洋楽(といっても、ナツメロだけど)の品揃えが貧弱で話にならなかった。なので、アカウントは作ったもののそれっきり放置してあった。
 ところが、昨日覗いてみると、おお、あらゆるブツが揃ってる。しかも安い。まあ、洋楽CDのボッタクリ値段に比べてみればの話ではあるが。
 30分ほどウロつくうちに、ポール・サイモン関連のiTunesオリジナルものをいくつかと、ポール・マッカートニーのコレクション漏れ作品(LPレコードは持っているものの、CDを買い直していなかったもの)などを購入。とてもヤバい。タワーレコードどころのヤバさではない。
 以下、感想など。

 RAM(マカトニー卿のセカンドアルバム)の中にある「Monkberry moon delight」の歌詞(LyricsMasterにて入手)を見て驚愕。オレがおぼえているのとまるで違う。
 いや、私のアタマの中に残存していたのは、中学生の時に買ったLPについてた歌詞カードの丸暗記なのだが、これが、恐ろしいほど間違いだらけなのだ。たとえば、私の記憶では、最初のサビのところの歌詞は、

"catch up(catch up) super delay(super delay)" 
強いて翻訳するなら「追いつけ、追いつけ、超遅れてるぞ」ぐらいか?
 となっていたはずなのだが、ネット経由で入手した版では、

"Ketchup (ketchup) Soup and puree (soup and puree),"
「ケチャップ、ケチャップ、スープとピューレ」
 てなことになっている。
 おい、全然違うぞ。
 どういうことだ?

 ともあれ、高校生の頃まで、私は、自腹で買った洋楽LPの歌詞は、ほとんど完全に暗記していた。

 どうしてそんなことが可能だったのだろう。

 単に貧乏だったからですね。おそらく。
 貧困ゆえに、レコードは月に一枚買うのがやっと。だから、そうやって買ったLPレコードは、モトを取るべく一枚あたり百回は聴くことになる。となれば、イヤでも歌詞ぐらいは、暗記してしまう、と。
 で、その丸暗記の手がかりになっていた、歌詞カードが、どうやらウソだらけだっわけだね、どうにも悲しくも滑稽なことに。

 半年ぐらい前、火星探査衛星が送ってきた写真に「火星人らしき人影」が映っているとかいった話がちょっと話題になったことがある。
 で、ネタ元の記事(英文)が、どこかの新聞のサイトで紹介されていたのだが、その英文記事の見出しが「Life on Mars?」となっていた。
 私は、ひと目見て、「おお、これはデビッド・ボウイの『火星の生活』(1971年発表のアルバム「HUNKY DORY」ハンキー・ドリーに収録されている名曲)をいただいたタイトルだな」と思ったのだが、記事を見ると、どうもボウイとは関係ない。
 調べてみると、「Life on Mars?」は、「火星に生命はあるのだろうか?」という意味で、「火星の生活」という邦題が、モロな誤訳であることが判明。たしかに、歌詞を丹念に読めば、内容は、全然火星の生活なんかじゃない。日常生活の単調を呪う少女の歌(←だと思う。無理解な父母。退屈な映画。ミッキーマウス。月並みな演出などなど……ボウイの歌詞はあえて支離滅裂に作ってあったりする。いずれにしても難解)だ。ってことは、オレは、30年もの間、タイトルにだまされて、ずっと歌の意味を誤解していたのだな。ううう。

 似たような歌(少女の孤独と暴発を歌ったロケンロール)に、「哀愁のマンデイ」があるが、これも全然哀愁なんかとは関係のない歌だ。
 原題は、「I don't like Mondays」。自宅の向かいにある小学校で乱射事件を起こした女子高生が「なぜあんなことをしたんだ?」と聞かれた時に答えたとされる言葉(「月曜日が嫌いだから」である。
 
 つい、昨日、川口市で中学三年生の女の子が父親を刺殺する事件が発生している。
 
 って、話がこれ以上バラけるのはよくないかもしれない。
 寝よう。

 

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コメント

怖いですね、前情報化社会の時代の話は。
私も渋谷陽一の呪いが解けるまでは、人と仲良くする事ができませんでした。いえ、今も仲良くできてる訳ではありませんけど。

投稿: 蜂助 | 2008/07/21 00:17

昔読んだ小田嶋さんの文章に
「学生時代、英語だけは真面目に勉強したのは
当時の洋楽LPのライナーに載ってる英訳詞が間違いだらけだったから」
みたいなのがあったのを覚えています。

英詞自体が間違いだらけとは。

私も昔経験があります。
貧弱なヒアリングながら、おい、どう考えたってそんなふうに歌ってねえぞ、と。

レコード会社自体が適当な人選(社内で英語得意と自称する奴とか流れ者の自称ネイティブ)に適当にやらせた結果でしょうか。

タイトルについては、もっと昔、洋楽に日本語歌詞を載せて歌謡曲に仕立てるのが主流だった時代から、意図的な誤訳が横行していたように思われます。
(漣健児とか)

投稿: かくた | 2008/07/21 01:35

かなり昔の話。
NHK-FMでアナウンサーが云った曲名
「肉体と霊魂」。
かかった曲は「身も心も」。
オイオイ・・と思ったが、どうなんでしょうねぇ。

投稿: 高橋 | 2008/07/21 09:36

>高橋さま

マカトニー卿の楽団も、朝日新聞の学芸欄で「ポール・マッカートニーと羽」と紹介されてましたね。1970年代のはじめは、大新聞からしてそんなものでした。

投稿: 小田嶋 | 2008/07/21 11:01

ところで、
>話がこれ以上バラけるのはよくないかもしれない。
の方の話ですが、私は、単に寝ぼけて引き起こした事件・・・の様に思います。
タミフル服用時の異常行動とされたものも、高熱に「うかされた」結果の行動と思っています。私の子供の頃にはよくあった事です。
今は「うかされた」なんて言葉自体も忘れられ、その意味するところさえ知る由もなく、薬のせいにした節があります。

投稿: 高橋 | 2008/07/21 14:53

 気になったので、monkberry moon delightの歌詞をネットで調べてみたのですが、ketchup とcatch up
は掛詞になっていて、どちらが正しいとも言い切れないのではないかと思いました。
 soup and pureeはたしかにそう発音しているようですが、これもsuper delayと掛かっているかもしれません。
 ただ、どうもsuper delayという表現が英語で成立するものか私には判断がつきかねます。
 
 小田嶋さんの例と少し似ているのですが、私はピーター・ガブリエルのスレッジハンマーを、ラジオで20年ぶりに聴いて歌詞が完全に性的な暗喩で出来上がってるのに気づいて驚愕したことがあります。
 なぜ、見るもの聴くものすべてを性的な事象とむすびつけずにおれなかった思春期に、表面的な歌詞は理解していたのにかかわらず、ここまであからあさまな暗喩に気づかなかったのだろうか・・・
 大人になると、いくら気に入った曲でも歌詞を暗記するまで聞き込むことはほんとになくなりますよね。

投稿: 真木農園 | 2008/07/21 18:49

>大人になると、いくら気に入った曲でも歌詞を暗記するまで聞き込むことはほんとになくなりますよね。

ここ数ヶ月、(英語の)歌詞を暗記するまで聞き込んでます。41歳です・・・。

投稿: キリハラ | 2008/07/21 23:07

私はサイレント・ジョージ好きでして、ダーティー・マックは敬遠しています。4人が揃えば問題ないのですがね。

日本版歌詞カードは中高の英語の教科書より読みました。でも、東芝さんは間違いが多くて、私たち世代の英語力の足を引っ張る一助をしていたようですが、All You Need Is Loveで関係副詞なんてことを覚えた身なんで、今でも大切にLPを取ってあります。

投稿: yapple-happle | 2008/07/22 12:40

歌詞はまだ辞書を片手にその間違いを訂正できる分だけ
ましですよ。問題は映画の字幕です。
DVDが出てきて、映画の字幕のいい加減さを全国民が
知ることになってきました。
正直ネットで違法に出回っている翻訳ボランティア
の作品のほうがプロの翻訳家よりはるかに良い表現
や正確な表現をしています。
歌詞なんてかわいいものです。
それに歌詞は”詩”としての意味もあるので、あえて
支離滅裂にしたり、韻を踏む目的でわざと文法を間違って
いたりするのでその文化的背景までかんがみれば
いつぞや流行した直訳ロック(王様でしたか?)
のお間抜けを楽しむ文化も生まれたわけですし。

投稿: xyz | 2008/07/22 21:48

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