善戦
FIFAクラブW杯準決勝 浦和 VS ACミラン @横浜国際競技場
試合に備えて昼過ぎから午後6時まで寝る。
で、試合直後からいましがた(14日午前3時)まで寝てました。
つまりそれだけ体力を使ったということだ。テレビで見ているだけのオレが。
選手はもっと大変だったはずだ。まずはご苦労様と言いたい。
ゲームは拮抗していた。
実力が拮抗していたと言い張るつもりはない。
でも、ゲームは拮抗していた。
アウェイのチームがアウェイの戦い方で慎重に来ているのだから、当然、ゲームは拮抗する。
でもって、アウェイの戦い方をしている慎重なチームから得点チャンスを奪うことは著しく困難なミッションだったわけで、結局、ボール保持率(←前半の終わり頃、実況アナが「61%対39%」ぐらいなことを言っていた。後半は70%対30%に近かった気がする)が示すとおりの、重苦しい闘いが続くことになった。
かくして、私はかくのごとくに疲労困憊している次第だ。ううう。
以下、うまくまとまりそうにないので、箇条書きで雑感を述べて寝ることにする。そうだとも、とてもひどく疲れているのだよ。心を酷使したのでね。
- 点差ほどの接戦だったわけではない。それはわかっている。
- とはいえ、タコ殴りに遭ったと言わねばならぬほどの大差はなかった。このあたりがサッカーというゲームの素晴らしさだ。不利な側のチームにも必ず何回かの勝機が訪れる。そういう設定になっている。素晴らしいじゃないか。多少の実力差はコンディションとスタジアムの空気と時の運みたいな不確定要素が埋めてしまうわけだから。
- 浦和のサッカーが世界に通用した、と叫ぼうとは思わない。
- でもイタリア人の歌舞伎やミラネーゼの書道よりはずっとましなものをお見せできたはずだ。
- ジローラモの日本語、ぐらいだろうか。
- いや、デーブ・スペクターぐらいのレベルには来ていたと思う。そこいらへんの素人よりはずっと達者な軽口。駄洒落だって自由自在。足りないのは思慮だけ。
- カカは、あれは1対1では絶対に止められない。テクニックもさることながら速すぎる。速度超過違反。ここのところ好調だった坪井がああいう感じで振り切られる姿は、やはり驚きだった。
- ワシントンのシュートは枠ギリギリのところに飛ぶ素晴らしい弾道だった。
- にもかかわらず、ジダはきっちりとキャッチしていた。
- つまり、あのGKが立っている限り、ペナルティエリア外からのシュートは、どんなに素晴らしいコースに打ってもほぼ100%セーブされるということなわけだ。
- ってことは、きちんと相手のディフェンスを崩した上で、エリア内に侵入して、なおかつ打つかハタくかの複数の選択肢がある中からファインシュートを撃たないと点は獲れない、と。
- 0点と1点の差はとてつもなく大きい、と、そういうことなのだな。結局は。
- 勉強になった
- 実況アナは、セパハン戦の時の人と同じ声に聞こえたが、同一人物だったのだろうか。
- セパハン戦の時よりは、ずいぶんマトモな実況をしていた。
- 自分の実況VTRを見て反省したのか、それとも単に慣れたのか、あるいは、ゲーム自体がより緊迫していたということなのか、いずれにしてもめでたいことだ。
- 放送席にさんまを座らせなかったのも正解。英断だった。
- ま、ハーフタイムと試合前後に出てくるだけでも十分にウザかったが。
- ここ数年、さんまは、サッカー関連の話をするにあたって、必ずや国内サッカーに対する侮蔑の念をチラつかせずにおれなくなってきている。わざわざそんなことを言わなくても、「オレは海外サッカー通だよ」と、それだけ言っておればそれで十分なのに。
- のみならず、「オレらみたいなサッカー通からすると、日本のサッカーなんかアホらしくて見てられんよ」ということを、メディアを通して公言していたりするわけだが。
- いったい、どういう意図なんだ?
- 日本のサッカーが、現状において、欧州サッカーの最高峰と比べて見劣りのする水準にあることは、さんまの言う通りだ。
- そんなことは、一芸人の指摘を待つまでもなく、サッカーファンなら誰でも知っている。
- でも、サッカーはレベルどうこうだけで見るものではないよ。
- 強いチームのレベルの高いサッカーを見ることは、サッカーを楽しむ上での重要な要素のひとつではある。でも、それがすべてではない。と、そういうことだ。
- あたりまえの話じゃないか。
- サッカーを見ることと、チームを応援することは別だ。
- サッカーを観賞することと、プレイを見ることもまた別次元の話になる。
- だからこそ、世界中のサッカーリーグに強いチームと弱いチームがある中で、それぞれのチームに地元のファンがついていて、それぞれが熱い声援を送っているわけで、要するにサッカーというのは、スタジアムの座席に座っているファンの数と同じだけ、毎日新しく生産されている、個人的でありながら公共的でもある一種不可思議な共同体験なのである。
- それゆえ、当然のことながら、強いチームのファンがすなわち一流のサッカー通だというわけではないし、高いレベルのサッカーを見ている人間が高級な人種だというわけでもない。
- むしろ反対かもしれない。
- 弱いチームの低レベルなサッカーや、マイナーなリーグの凡庸なプレーの中に観戦の楽しみを見出すためには、ゲーム観察者の側により高度なサッカー教養が備わっていなければならないはずだからだ。
- ……っていのは詭弁だよ。わかってるってば。言ってみたかっただけだ。
- でも、古い時代のサッカーを知っていることや、遠い国の高いレベルのサッカーについて知識を持っていることが、サッカーファンとしての品格を保証するわけではないんだよ。な、師匠。
- っていうか、国内リーグのチームが試合をしている場所にわざわざやってきて、海外リーグの知識をひけらかす態度は、人として下品だぞ。
- 廻転寿司の店先に立って「お前らの食ってる寿司はニセモノだぞ」と言っている人間がいたとする。本人は優越感を表明しているのかもしれない。勝利宣言をしているつもりなのかもしれない。でも、彼は、人々に笑われることになる。「おい、食っている寿司の値段で自ら優位性を主張してやまない人間がここにいるぞ」と。
- ベンツに乗っている人間は、カローラに乗っている人間に比べて、高い経済力を持っているのであろう。が、ベンツのオーナーがカローラのドライバーに比べて、より高級な人間だというわけではない。
- アルマーニとユニクロの差も、センスの差というよりは可処分所得ないしはファッション支出の差異に過ぎない。ただ、薄っぺらな人間は、経済力がもたらす格差やファッションブランド発の優越感を、全般的な人格力の差として認識しがちだという、それだけの話だ。
- さんま師匠は、あるいは高級ブランドの服を身につければそれだけで人間としての品格が向上し、高いクルマに乗れば自分の価値が上昇し、欧州リーグのサッカーを語っている自分はJリーグのスタジアムに座っている人間よりもサッカー人として高い場所に立っていると思いこむような、軽薄な人間ではないのかもしれない。
- だったら、そう思われても仕方のないような言動は慎んだ方が良いと思う。
- 手遅れだけど。たぶん。
寝よう。仕事は明日。
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コメント
ポンテがいれば、せめて中盤であれほどすき放題
やられることは・・・・
普段浦和がJ下位のチームにやっていることをそのまま
やられている感じがしましたね。
ボカ戦の前に怪我は嫌だけど手を抜きすぎて万が一
も嫌だって試合でしたね。
惜しむらくは埼玉で試合して欲しかったですね
もしくは国立で。
日産(アナウンサーが日産スタジアムって言わずに
横浜国際って言っていたのが笑ってしまった。
契約に盛り込まれたんでしょうか?)
少なくともあの試合で光ればイタリア他のチームに
いける就職活動でもあったと思うのですが、
浦和の選手はある意味アガリだからそういった欲望でなく
チームでの勝利が目標になった時点でチームの実力差があるのですからあの結果は順当なのかも。
虐殺されないよりはマシでした。
野球日本代表と戦う韓国台湾の選手の気持ちや国民の
気持ちってこんな感じなのですかね?
投稿: slider | 金曜日, 12月 14, 2007 10:22
私は別にさんま嫌いではないのですが、昨日はテレビを観ていてなんだか妙に彼が浮いて見えました。
日本のサッカーファンはここ十年で格段に進化したと思うのですが彼はその流れについていけてないような気がします。
なので昨日の彼の発言等は非常に違和感を感じてしまいました。
少なくともサッカー通のテレビタレントとしては、さんまはもう賞味期限切れというかその役割を終えたように思うのですが・・・・さんまほど優秀な芸人にその自覚がないというのが不思議な気がします。
実況アナですがセバハン戦は藤井貴彦さんで、昨日のミラン戦は河村亮さんだったみたいですよ。
藤井アナはレポーターで昨日のミラン戦にも少し出てましたが。
藤井アナは日曜の3位決定戦でまた実況を担当されるみたいですね・・・
投稿: kenzi | 金曜日, 12月 14, 2007 12:34
セパハン戦の間違った小野情報発言のアナは藤井で、昨日のは河村ですな。藤井はA3チャンピオンズカップで韓国クラブがゴールしたときに「ドンチャンゴールスムニダ!!!」と叫んで一躍名を挙げた野郎です。
投稿: スルーパス | 金曜日, 12月 14, 2007 12:35
見事にやられてしまいましたね。負けたことより、実力差を見せつけられたのが悔しいです。まだJリーグの上位クラブと欧州のトップ・レベルでは10年(恐らくはそれ以上)の差があるのでしょうか。振り切られる坪井。完璧に押えられる相馬。ビルドアップすらまともにさせてもらえない中盤。
でもまぁ。きっと10年前よりその差は縮まっている、と思いたいです。プロ野球でさえ今のメジャーで日本人選手が活躍していて当たり前状態になるまで80年以上(ですか?)かかっているわけですから。
ボカとだったら、もう少し、本当に、惜しい試合になっただろうと思うのは楽天的でしょうか。
投稿: かず | 金曜日, 12月 14, 2007 13:41
小田嶋先生、いつも拝読しております。
またしばらく「高尚な(笑)」海外厨の、上から目線で「下賤な」Jリーグを見てやってる的視線が続くんですかね。あいつらいつか丸ごとぶっ潰してやる。
横レスですが
日産スタジアムの呼称ですが、FIFA主催大会ではネーミングライツを使っちゃいけないことになってるので「横浜国際総合競技場」と呼ばねばならないようですよ。
これが仮にトヨタが大会スポンサーでなくとも、あるいは競技場がフクアリでも味の素でも神戸ホムスタでも同じことだと思います。
投稿: 鈴木高次 | 金曜日, 12月 14, 2007 21:06
浦和レッズとACミランとの差は、日本代表とイタリア代表との差よりずっと大きかったように思います。
当然の事なのかもしれませんが、ちょっとショックです。
Jリーグの、日本サッカーの将来像を根底から覆しかねない事態なのでは・・・
とてもショックです。
投稿: Gambino | 土曜日, 12月 15, 2007 02:20
好悪入り混じるおっさんをバッサリするのはこともなげとはいかないっすね。
俺がチョクで遭おうとしたらやはりこわいおにいさんがでてくるのかしら。
投稿: NS9遣い | 土曜日, 12月 15, 2007 17:49
さんま呼ぶなら石原真理子も呼んでほしいです。(笑)
去年はバルセロナで今年はミランですか?さんまよ
投稿: のびたろう | 土曜日, 12月 15, 2007 22:37
あの人はサッカーファンというより海外ブランドファンみたいなところがありますから。
それと、TV局が視聴者の方ではなくタレントや芸能事務所の方を向いて番組を作っているのは事実でしょうね。
新規参入が容易な業界ならば視聴者本位の番組作りをするメディアが現われてそういった既存メディアから視聴者を奪うことも有るのでしょうが、
電波割り当てという既得権に守られその体制が崩される危機感のないオールドメディア業界の今後にはあまり期待できないでしょう。
投稿: 墨田 | 土曜日, 12月 15, 2007 23:22
「国内サッカーに対する侮蔑の念」をチラつかせれば、「批判的」という時代はつい20年ぐらい前まであった。
> ここ数年、さんまは、サッカー関連の話をするにあたって、必ずや国内サッカーに対する侮蔑の念をチラつかせずにおれなくなってきている。わざわざそんなことを言わなくても、
> 強いチームのレベルの高いサッカーを見ることは、サッカーを楽しむ上での重要な要素のひとつではある。でも、それがすべてではない。と、そういうことだ。
この辺は、村上龍を揶揄した時の後藤健生と図式がまったく同じ。
ドラゴンやさそまみたいな昔からのサッカーファンと、後藤や鈴木良韶みたいな昔の日本サッカーをちゃんと見ていた人とは、厳然と区別するべきですな。
さそまは、憧れだったサッカー元日本代表の娘と競演したものの大惨敗。
木梨憲武の方が、まだいいような気がする。
>かず さんへ
野球は国際競争がなかったんだからあまり参考にならないんじゃないの?
投稿: あ~胸糞悪い | 日曜日, 12月 16, 2007 15:43
面白く読ませてもらいました。
自分も最近の日本人の海外サッカーファンに
うんざりして、
半年かけてFLASHまで作ったくらいです。
自国サッカーを卑下する日本人には
うんざりしますね。自分の国なのに・・・
投稿: nagoya_flash | 日曜日, 12月 16, 2007 17:42
あ~胸糞悪いさんへ
確かに国際的にみれば競技人口もマーケットもサッカーのほうが大きいでしょうし、野球はアメリカ中心の感が拭えないのも承知。またそもそも競技が違うので単純比較はできないのは分かりつつ、それでも;
●頂点と思われるMLBはプロリーグ化されて1世紀以上。(ちょっとネットで調べたところサッカーのプロリーグの歴史より古い??お詳しい方ご教授を)
●トップ選手は億単位で稼ぐ。またそれを可能にする市場があり、興行が成り立つ。
●若年層が所属する団体から選手育成は組織化されており、プロ選手になる為、またなってからの競争は熾烈を極める。
●文化として浸透しており、メディアの注目度も高い。良くも悪くも。
んでもって、サッカーほどでないにせよ、野球もそれなりのGNPがある複数の国々の人気スポーツだったりもするので。モノの例えに出してもそれほど見当違いでもないような気がします。ええ、そんなに確信があるわけぢゃないんですけでどね。まぁ、ゆっくり行きましょうよ、と。
投稿: かず | 日曜日, 12月 16, 2007 23:21
>かず さんへ
>ちょっとネットで調べたところサッカーのプロリーグの歴史より古い??お詳しい方ご教授を
ブリタニカ百科事典のフットボール→サッカーの項に、イングランドのFL(プレミアの前身)はアメリカ大リーグを参考に作られたとあったはず。
もっとも、予めフランチャイズを割り当てて出資者を募ったMLBと、既にプロ活動を始めていた英国のサッカークラブが集まってできたFLとは、ずいぶん違う。
私の方がちょっと説明不足だったかも。
野球で国際競争の歴史(サッカー、ラグビーなみの)があれば、リアルな日米彼我の差が認識できて、野球にしろサッカーにしろ、「自国を卑下する、日本人にうんざりさせられる。自分の国なのに…」という怪現象は、なかったかもしれないということです。
ゆっくりやりましょうね。
投稿: あ~胸糞悪い | 月曜日, 12月 17, 2007 00:14
女がゆっくりやれって言った折にはさかしまに!
皮イテそうろう。
投稿: メルヘンひじきごはん | 金曜日, 12月 21, 2007 10:19
小田嶋さん、ひとつ思い出しましたよ。
電車の車内吊り広告より
>“たのむさかい満員の国立で日本リーグの選手達に試合さしたってぇなぁ”明石家さんま
村上龍は、はじめっから日本サッカーは馬鹿にしていたはずだが、さんまはこんな時代があった。
ラモスとか、交流があるはずだが…。
投稿: あ~胸糞悪い | 木曜日, 12月 27, 2007 23:20