ボクシング的には、マッチメイキングのミスということ以外に、特に言うべきことはない。
亀田二号は、ガードを固めて突進するだけ。まあ、実力差からして、倒されないためには、ああするほかにどうしようもなかったのだろう。
結局、左右の目の上に切れやすい古傷を持ったチャンピオンがバッティングをこわがったため、倒されずに済んだわけだ。
反則も想定の範囲内。ずっとやってきたことだし。
バッティング、ローブロー、ホールディング、サミング、足踏み、頭から当たりに行くタックルなど、例によっておなじみの反則を展開していた。
ただ、12ラウンドに見せた吊り落としとグラウンドレベル(←という概念自体が非ボクシング的なわけだが)でのサミングは、新技に認定して良いと思う。
というわけで、ボクシングについての論評は以上で終了。
むしろ私が注目していたのは、TBSがどうやって軌道修正をはかるのか、だった。
が、もはや後戻りできないところに来てしまっているという判断なのか、あるいは現場が暴走して、上層部のコントロールが届かなくなっているということなのか、現場は意外にも、亀田ヨイショ放送に終始していた。
正気だろうか。
半年ほど前から、TBS本体は、どうも亀田との心中をいやがっているようにも見えたのだが、まだ、現場には色々な権力抗争があるのかもしれない。
ただ、土井アナは、さすがに実況を逃げたようだ。
まあ、いまさら逃げても遅いけど。
いままでの実況があまりにも黒過ぎたから。
むしろ、このタイミングで逃げたことで、かえって卑怯な印象を残してしまったのではなかろうか。
最後まで亀田ヨイショで行って、もろともに滅びる運命をまっとうしたということなら、それはそれで、最悪な中でも義理堅さだけは認めてもらえたかもしれない。
でも、土井ちゃんは、逃げた。
で、内藤側のリポーターなんかをやっていた。
いけしゃあしゃあ、と、だ。
これまで、亀田一家と組んで、思いっきり亀田寄りの実況を展開してきたのに、その亀田が落ち目になると見るや、いきなり逃走、と、そういうことですか?
あんまりだと思うな。
悪党としての最低の仁義さえ欠いている、と思う。
きつい人生になるぞ。
良識派からは眉をひそめられ、パンク派のやんちゃ万歳系の人々からは裏切り者扱いだからね。
で、かわいそうに、落ち目の亀田一家の実況を引き受けることになったのは、後輩の新夕とかいうアナウンサーだったのだが、これもひどかった。
型通りの偏向実況。
しかも、偏っている上にヘタ。
おまけに、偏っていてヘタな上に気持ちがはいっていない。
腐っても実況テクだけはあった土井アナよりも、さらにダメな実況だった。
まあ、かわいそうだけどね。あんな状態の亀田を擁護しなけりゃならない立場に置かれていたわけだから。
鬼塚、赤井もどうしようもない提灯解説を展開。
この人たちには同情できない。
だって、自分が半生を賭けてきた競技をこんなカタチで泥まみれにされて、腹を立てないどころか、積極的に泥を塗りに行ってるわけだから。プライドがないんだろうか。
このタイミングで、ぜひとも思い出しておかねばならないのは、ここまで来る間に、とんでもない量の翼賛報道が展開されてきたというそのことだ。
まさにメディアスクラムと言うほかに表現のしようのない、執拗かつ巨大な亀田ヨイショ報道があったからこそ、かくのごとき未熟なボクサーが世界戦のリングの上に立てたのである。このことを、われわれは忘れてはならない。
亀田次男に対してのヨイショだけでも、
訂正:みのもんたが黄金のグローブをプレゼントしたのは、ヌルヌルの秋山成勲選手に対してでした。まあ、これはこれで黒歴史ですが。
いずれにしても、以下、おわびして訂正します(07年10月15日)
みのもんたの激励に、秋山は「勝利の美酒」を約束=HERO’S黄金のグローブプレゼントに大感激
- さんまが黄金のマイクをプレゼント
- キムタクが黄金のマイクスタンドをプレゼント
ということがあった。
おどろくべきことだ。
これは、21世紀のテレビ界の現状で考えられる、最強の大本営翼賛体制だと思う。だって、みの& さんま&キムタクですぜ。これ以上の圧力って、考えられないでしょ?
いったい、どんな報酬が介在していたのだろうか。
どうして、亀田一家は、こんなメンバーをプロモに駆り出すことができたのだろう。
考えれば考えるほど不思議だ。
いずれにしても、みのも、 さんまも、キムタクも、2006年4月に展開された黄金グッズプレゼント事件を、今後、黒歴史として、決して語らないだろう。マスメディアも、二度と振り返らないだろう。が、オレらブロガーは、ことあるごとに、この歴史的事実を執拗に反芻せねばならない。
ああ、あの亀田の次男に黄金のマイクスタンドをプレゼントした木村タクヤさんですね、と、今後、もしお会いする機会があったら、そういうふうに声をかけてみたいものだ。
たかがボクシングと笑ってはいけない。
おそらく、大東亜戦争における戦時報道にしたところで、発端は、「人気映画女優が予科練を慰問」みたいなミーハー乗りの世論誘導から始まったものであるに違いないのだ。。
時の文豪だとか、国民的歌手だとか人気俳優だとかいった連中が、異口同音に大日本帝国万歳を唱える中で、反戦方面の意見を持った人々が次第に声をあげにくくなって行ったのと同じようななりゆきが、少なくともTBS局内と、その関係者の間にはあったはずだ。
以下に、参考記事をあげておく。
「弁慶、さんまに、キムタクで、“カリスマ”の合体や!=5.5「亀田の日」兄・興毅は世界タイトル奪取へ慢心なし 」
スポーツナビ06年4月25日の記事です。
スポナビもある意味犠牲者でしたね。
マジメなサッカー記事や独自の切り口で頑張っていた野球報道を通じて築いてきた読者の信頼を、亀田関連の提灯報道(およびプライドがらみのヨタ記事)で、一気に失ってしまったわけだから。
ということで、さあ、仕事に戻るぞ(←棒読み)。
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