サルコジとか
ブレア首相が辞任を決意したというニュースを知る。
ちょっと残念に思う。
意外だ。
だって、ブレアさんのことが特に気に入っていたわけでもないから。
いや、好き嫌いを言う以前に、私は、彼の主張や政策について、ほとんどまったく知識を持っていない。興味もなかったし。
あるいは、この気持ちは、つい数日前のフランスの首脳交代について抱いた気分と関連しているのかもしれない。つまり、オレはどうやらあのサルコジというチンピラが好きになれそうにないぞ、と。
なぜサルコジが気にくわないのかは、実はよくわからない。
対立候補のロワイヤル女史に肩入れしていたわけではない。
前任のシラクさんに好感を抱いていたのでもない。
単に、新しい指導者の顔を覚えることが面倒くさくなってきているということなのかもしれない。
つまり、私も年をとったわけだ。
ずっと昔、自分が若い者だった頃、政治家は、ずっと年上の人々と決まっていた。大統領とか首相ということになればなおのことだ。ブレアは例外的に若かったが、シラクさんは私から見てはるかに年配の男だったし、チャーチルだのドゴールだのは、半ば歴史上の存在だった。
引き比べて、サルコジはあまりにも若い。
だから、まるでえらい人という感じがしない。
っていうか、タチの悪いソムリエぐらいにしか見えない。あるいは、葛西あたりでコギャルにコナをかけてるダンス教師とか。
「なあ、あのソムリエ、フランス人じゃないよな」
「オレの見るに南米出身だな。ブエノスアイレス郊外。8人兄弟の6番目。上の二人の兄貴はマフィアに撃たれて死んでる」
「っていうか、J2かJFLのチームが間違って連れてきた戦術コーチが遠征資金を横領してクビになってソムリエに化けた姿とか、そんなとこじゃないか」
「とすると、現役時代は武闘派のボランチぐらいか」
「フィジカルの不足を無慈悲なタックルで補うプレースタイルだな。体格的に見て」
「まあ、ハイボールの競り合いなんかだと、敵ストライカーの股間にちょうどエルボーが当たるぐらいな見当だし」
と、こんな感じで陰口をたたきたくなる感じの存在ですね。
年寄りは変化を嫌うようになる。
というよりも「すべての善きものは過去に属する」と考えた方が心が安まるわけなのだな、オレらにしてみれば。
たぶん、この先、フランス人の映画監督が洒落た映画を撮ることはなくなるのだろうし、イギリスから秀逸なミュージシャンが出てくるようなめぐりあわせも皆無になる。国際的に配給される映画は、どれもこれもあのやかましいハリウッドの連中の息のかかったいまいましい量産型の粗悪品になる。音楽も然り。マージー川の流域から奇跡みたいな工芸品が出てくることなんか金輪際なくなる……と、私が、そういう形式でものを考えるのは、私自身が、内心で、自分の壮年期の終わりにタイミングを合わせて、全世界の青春が軒並み老化することを望んでいるからだ。そう。わが日本の善き時代は終わり、世界がおおむね平和であった戦後の数十年も終焉を迎える。で、祖国は世界の三等国に成り下がり、その命運は中華なる国の治乱興亡にまきこまれ……って、そこまでひどいことになる必要はない。わかっている。
この先ロクなことが無いという考えに、なぐさめられたりする状態は、たぶん、病んでいる。っていうか、腹が減っているのがいけないのかもしれない。だって、ここしばらく、なんとなく食事を避けているおかげで、なんだか力がはいらなかったりしているわけだし。私は何か食べるべきなのだな。きっと。
人が肥るのにはやむをえざる理由がある。
と、そう考えないと、世界がこんなにもデブだらけになってしまっていることの説明がつかない。
そう思わないか?
やせた人間として暮らしてきた40年あまりの間、当然といえば当然ではあるが、私は、肥った人間について、彼らの身になって考えたことがなかった。ありていに言えば、デブというのは自制心か自尊心かのいずれかを欠いた存在なのだぐらいに考えて、それ以上の分析は放棄していた。どっちにしろ、オレとは違うカテゴリーの生き物なのだ、と。
私は間違っていた。
肥満は、自制心の欠如がもたらす結果である以上に、自尊心が患っている症状なのだ。
言葉を変えて言うなら、肥満というのは、精神が肉体のフォルムを通じて表現しようとているひとつの悲鳴なのだ。
その皮下脂肪の語るところを無理矢理に翻訳すれば
「おい、このオレのクソみたいな人生をどうにかしてくれよ」
ぐらいなことになると思う。ちくしょう。
いずれにしても、肥った人間にとっての人生は、彼の自制心を失わしめ、自尊心を毀損するに至る事故みたいなものなわけで、そのぞっとするような事態に直面したら、誰だってヤケ食いぐらいなことはして当然なのであって、結局、食欲という最も根源的な欲望の充足でしか埋められない空虚……って、こういう理屈を言っているオレは健康じゃないぞ。腹が減っているんなら、素直に食おうではないか。それが人間らしさというものだ。空腹に対して理屈を言うべきではない。
というわけで、何か食い物を探して来ます。夜中の4時だけど。ちぇっ。
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コメント
古今東西新旧のストレス解消方
SEX・・相手がいれば
暴力・・権力があれば
買い物・・金があればな
ギャンブル・・上に同じ
クスリ・・遵法精神が無ければ可能。
法律守って自分本位でソコソコのお金があれば
出来るストレス解消方は酒と喰うことしかない。
しかも高級酒や高級食材より安酒ジャンクフード
のほうが効き目があるからあら不思議。
投稿: slider | 2007/05/12 11:53
王室を 名乗る左翼が ファヴョる春
ゴダールを 引きずり出したと猿が誇示
ン。師にも高橋さんにもまだまだ至りませぬが…ま、コナンデマシタ
投稿: MeXi | 2007/05/16 05:51