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2006/05/18

憑依

 雨。
 外出する気になれない。
 外に出るためには、どうしても外廊下を通過せねばならない(うちのマンションは、各戸の玄関とエレベーターホールおよび階段が外廊下に面した構造になっている)のだが、そこはすなわち自殺者が飛び降りた場所だからだ。私は現場検証に立ち会った人間でもあるので、なんというのか、記憶が生々しいわけだ。
 そこへ持ってきて「未浄化霊」である。
「二人羽織みたいに霊が取り憑いて、何度でも飛び降りる」
「本人に自殺するつもりがなくても飛び降りてしまう」
 ってな話を、オレは読まされたわけだ。
 何なんだ? これは。

 猛烈に腹が立つ。
 あるいは、これはひとつの心因反応なのだろうか。
 私は、元来、ひとつのことを根に持つタイプの男ではない。
 が、現実に、たかだか週刊誌のヨタ記事に過ぎないものに対して、三日たっても醒めない強烈な憤りを覚えている。
 ん?
 憑依?
 何かが取り憑いているんだろうか?
 その怒りも霊の障りですよ
 ってか?
 悪いけど、そういう冗談に付き合っている余裕はない。
 もし仮に未浄化霊だとかいったものが、オレに取り憑いているんだとしたら、オレは、飛び降りて自らの身を滅ぼしてでもそいつにダメージを……
 ……いや、冗談だけどさ。
 不謹慎な冗談を言う。
 これも、心因反応のひとつだ。

 昨日今日と、ムッとして、うまく原稿に向かうことができなかった。
 被害甚大だ。
 江原に対しては、今後、つらく当たることになるだろう。
 江原に限らず、私の前で、霊魂だの死後の世界だのといった話をする人間は、恐ろしい目に遭うはずだ。
 っていうか、オレが取り憑いてやる。
 生きて動いている人間のオーラがどんなに恐ろしいものであるのか、必ず思い知らせて……
 ま、人を呪わば穴二つとも申しますし、取り憑いたりはしません。
 でも、とりあえず、絶交だな。
「あたしって霊感が強いタイプからぁー」
 みたいな人たちとは、今後一切口をきかない。
 死が互いを分かつまで。
 ここまで言っても、わからないか?
 お前だよ、お前。
 二度とオレの前に顔出すなよ。

 葬式にだけは出てやる。
 オレの方が長生きしたことを確認するために(笑)。

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コメント

 仮に百歩ぐらい譲って、霊魂だとか前世だとか怨霊だとか祟りだとか、怨念だとか水子だとかが存在して悪巧みを巡らせていたとしても、親父の財布から金出させようと狙っている長男や、まるで犬がマーキングするみたいに、散歩途上のコンビニ全部でお菓子を買わなきゃ気が済まない2歳児や、二言目には仕事しろ、来月はどうすんだ! しか言わない女房ほど、怖いものはありません。 _| ̄|○ 。

 いや、ぶっちゃけ、現世に留まる限り、一番やっかいなのは、あの世へ引きずり込もうとする霊魂じゃなく、現実にそこに立ちふさがり、個人のささやかな日常を破壊する出来事であり、悪意の無い、でもちと迷惑な隣人だったりするんだと思うですよ。

投稿: えいじ | 2006/05/18 05:50

>えいじさま

死者は無害です。
霊魂や怨霊が、生者たるわれわれの生活に関与することは100パーセント不可能だし、妖魔だの亡霊だのにしたところで、スプーン一本曲げる力を持っているわけではありません。
邪悪なのは、生きている人間です。
江原啓之本人はもちろん、その江原を起用しているプロデューサーや江原で稼ごうとしている編集者のみなさんが、なるべく早い時期に来世にたどりつけるといいですね。なむなむ。

投稿: 小田嶋 | 2006/05/18 08:27

>死者は無害
ほんとほんと。
妖魔も亡霊も霊魂も怨霊も地獄も、
全て生きている人の中にあるのものです。

>でお菓子を買わなきゃ気が済まない2歳児や、二言目には仕事しろ、来月はどうすんだ! しか言わない女房ほど、怖いものはありません。
へえー、えいじさんって恐妻家だったんですか?
ちょっと意外。どっちかと言うと亭主関白のイメージでしたが。
てかホント仕事しないとサイレントコアが溝の口のタイトーを急襲するって話ですよ。

投稿: nervenarzt | 2006/05/18 14:10

霊に不安や恐怖の原因を担ってもらう文化から
公衆の面前で、しかも当人は絶対に見ないところで不平・不満・不快をぶちまけてスッとする、
ネットに痰壺の役割を担ってもらう文化に移ったってことでしょうか。

イタコの人たちもかわいそうに。

投稿: 怪談好き | 2006/05/18 15:57

江原・細木ブームと最近の右傾化は関係があるのでしょうか?
小泉くんも江原くん達の仲間ですか?
竹中くんは学者さんだったので、理論派なのようですが、実のところどうなんでしょうか?
小さな政府、というお題目を唱えているだけのように感じるのですが。
江原・細木ブームも政府の政策でしょうか?
国民の頭をもっとカスカスにしようとしているのでしょうかねえ?
自分で考えず、人に、こうよ、て言われると楽ですもんねえ。
そして、何も考えることのない国民を作ってしまって、
いろいろやりやすくするつもりですかねえ?
ニートが増えていっちゃうんですかねえ?うーん。

投稿: ばかぞの | 2006/05/18 17:23

 憑依とかもアレですが、血液型性格判断ってやつもイヤです。
 合コンが盛り上がるような話題って、どうしてこうなんでしょう。

投稿: よし | 2006/05/18 18:55

>怪談好きさま

>霊に不安や恐怖の原因を担って貰う文化

 意味がわかりません。
 江原や細木がやっている霊視や運命鑑定のことをおっしゃっているなら、あれは「不定形な不安や恐怖を霊という形で顕在化させ、拡大し、それを商売のネタにする文化」なのだと思います。

>公衆の面前で、しかも当人は絶対に見ないところで

 たった一行の中に論理矛盾が露呈してますよ。公衆の面前であるのなら、当人が見る可能性も当然あるずです。
 それから、私自身は、細木、江原が読む可能性のより高い、各種の雑誌媒体の上で、彼らに対する批判記事を何回も書いています。
 無視されてますが。

>ネットに痰壺の役割を担ってもらう文化に移ったということでしょうか。

 当コメント欄が痰壺だとするなら、貴兄は痰ということになります。

>イタコの人たちもかわいそうに。

 もともとかわいそうな人たちです。

投稿: 小田嶋 | 2006/05/19 00:24

江原はいいもん食ってそうですな。

エハラ焼き肉の。

投稿: メルヘンひじきごはん | 2006/05/19 01:55

宗教は民衆の阿片だ。といった先人がありましたが、この場合、阿片とは痛み止めの薬ほどの意味なのは皆様ご存知の通りです。痛み止めを飲んでないで痛みのもとを根治しなきゃだめだ、というのがそのこころなんでしょうが、根治の可能性がない場合は痛み止めも必要だ、という反論が必ずある。いいでしょう、しかし、阿片がもし必要(悪)だとしても、暴利を貪る阿片商人はそれと同断ではない。もちろん、阿片商人は文化の担い手でないことは言うまでもありません(脅して阿片を高額で押し付けていたら商人ですらない)。ほんとに衆生に必要なんだったら、ばらまけ。

投稿: K | 2006/05/19 02:18

最近の江原は田中ヤスオに似てきた。

投稿: もつか | 2006/05/19 13:16

昔からのファンなんですが、小田嶋氏がこんなに
反オカルトとは思わなかったので驚き。
いつものように、茶化しながらさらりと皮肉るのではなく、
憎しみ(逆に言えば怖れ?)の域に達してる感じを受けました。
上岡龍太郎のオカルトに対する憎悪に似た感じ。

ちょっと意外でした。

投稿: 通りすがり | 2006/05/20 13:12

 まあ、確かにおとなげない反応です。
 でも、相手は、路傍のムカデではありません。
 部屋に入り込んできたゴキブリです。
「ゴキブリにだってカソコソする権利があるはずだ」
 なんて、どうしてそんな大人の態度で彼らに対する必要があるんでしょうか。
 見かけたら撲殺。
 でないと増殖して手に負えなくなります。

 たとえば、ひいきのサッカーチームの違いや、食べ物の好き嫌いについてなら、「見解の相違」てなことで、互いの立場を尊重しつつ、相互不干渉でやっていくことができます。
 でも、オカルトはだめ。
 特に霊能関連は不倶戴天。
 リブ・アンド・レット・ダイ。
 当方が生き残るためには、先方に死んでもらわなねばなりません。
 ゴキブリと一緒。
 共存は不可能。
 害虫は駆除。見かけたら逆上。これ鉄則。

投稿: 小田嶋 | 2006/05/20 17:26

これだけ情報テクノロジーが発達しても、
ヒトは簡単に騙され(それゆえに?)、それを喰いものにするヤツもますます繁殖する。

このことに苛立たしさを感じておられるのでしょうか。

投稿: 元Q^2 | 2006/05/20 17:29

あら、送信したら直前に庵主殿のコメント。

単なる偶然ですが、
こういうのをなにかの「必然」と信じ込んでしまうヒトは一定数いるわけですね。

信者はどうしようもないですが、しかしメディアが「信者」を利用しちゃいけないってことです。

投稿: 元Q^2 | 2006/05/20 17:38

>そこはすなわち自殺者が飛び降りた場所だからだ。

そんなに気になるなら、現場を御祓いしてもらってはどうですか?
毒をもって毒を制すじゃありませんが。
葬式と同じで一種のケジメですよ。儀式にはそういう力がある
と思います。霊が存在するとかしないとかとは別に。
まあ、そういう儀式に乗っかることが出来ないのが、小田嶋さん
という人なんだと思いますが。

投稿: ぺ・ヨンジュン | 2006/05/23 19:52

>ぺ・ヨンさま
こういうことは、時間が解決するようで、もうほとんど気になりません。
「人はどんなことにでも慣れてしまう」と、リグ・ヴェーダに書いてあるそうです。

投稿: 小田嶋 | 2006/05/23 23:11

エハラが似ているのはノリだと思いますよ…

投稿: メルヘンひじきごはん | 2006/05/24 05:25

あと、俺は嫌いな虫っていないんです。

ゴキブリ・ハエ・ガ…カだけは、血を吸われるとムカッと来て叩いちゃうんですけどね。

投稿: メルヘンひじきごはん | 2006/05/24 05:29

江原氏についての興味深い記事がありますので、よかったらお読みください

江原啓之と愉快なお友達
http://blog.goo.ne.jp/adlum99v3t/e/ab30ef787f2a94d57766000ed05dfb81

投稿: 過去の記事にすみません | 2006/07/01 18:45

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