言葉のチカラ
朝日新聞社の「言葉のチカラ」のCMが、リニューアルされたようです。
23時過ぎに、「報道ステーション」の流れでテレビをつけっぱなしにしていたら、いきなり流れました。
「言葉は○○、言葉は××、言葉は**」
と、○○、××、**の部分に、様々な単語(勇気とか、翼とか、打算とか)をハメこんだセリフが繰り返される。色々な場所にいる多種多様な人々(リーマン風、モヒカンの兄ちゃん、OL風、小学生、入院患者などなど)がワンフレーズずつしゃべる。で、約2秒ごとに画面が切り替わる構成。
最後に、防波堤に座る父と子のショット。父が言う。
「言葉は……」
ここで、1秒弱の間。映像はオヤジの横顔のアップ。
「希望」
最後に決め台詞。テロップつき
「私たちは言葉のチカラを信じている。朝日新聞」
最後のところは、顔から火が出ました。
「うわああああああああ」
と叫んで、そのまま20メートルぐらい走り出したくなりましたよ、ええ。
どうしちゃったんでしょう。朝日さんは。
古い群像劇みたいな演出。
劇団芝居の稽古風景と言うべきか。
っていうか、はるか昔に学校現場で流行った「呼びかけ」(卒業式とかで子供たちができそこないのポエムみたいなものを唱和する演出技法「楽しかった修学旅行。みんなでチカラを合わせた学校菜園……」みたいな)を思い出す。
前回の「ジャーナリスト宣言」のCMへの囂々たる悪評に対する、これが朝日の回答なんだろうな。
素直に失敗を認めて、路線変更すれば良いのに。
「うん、ちょっとクサかったですね」
と、アタマをぼりぼり掻いて、わかりやすいCMに切り替えれば良かったのに。
でも、あの手の組織は、非を認めることができない。
誰が責任を取るかで、社内抗争が起きてしまうから。たぶん。
で、さらに「言葉」にこだわった演出をたたみかけて、失地回復をはかる。
で、墓穴。
民主党がメール問題への対応を誤った時の展開と似ている気がします。
言葉は墓穴。
おそらく、制作者は言葉のチカラを舐めているのでしょう。
言葉は……
言葉なんかじゃ説明できない、とオレは思うな。
言葉は、言葉を語るには不完全過ぎるし、一方、言葉は、言葉で要約するには巨大過ぎるから(笑)。
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コメント
今年になって(ようやく?)朝日新聞の講読を止めました。ちょうどそのころTVで「ジャーナリスト宣言」のCMをみて、なんか、自分が朝日を読まなくなったのを納得しました。朝日がサヨクだという方も多いらしいですが、「社会の安全弁」(木鐸とかじゃなくて)が必要(悪)だと考えると、むしろ、朝日の非サヨク化が問題です。朝日社説が小泉礼賛で、読売が小泉批判だもの(あ、役割交代しただけでべつにいいのか)。朝日内部で、冷戦構造・55年体制的な人びとが定年になったり出世したりで現場から離れ、80年代以降に自己形成した(非サヨクないしは文化サヨク的な?)世代が中心になっているのかな。悲惨な映像に「しゃれた」短いキャッチコピー。腐った80年代(クサいというより、文字通り腐臭)。と思っていたらもっとすごいことになっているようですね。みたいようなみたくないような。このところ腐った80年代が各地で臭っています。はやく80年代を終わらせましょう。
投稿: k | 2006/05/23 00:32
給料がいい組織は、腐る。
あ、断定的過ぎますか(笑)。
p.s. 給料が悪すぎる組織は、倒れる。
はい、私が関わっていた某雑誌のことです。
投稿: かくた | 2006/05/23 01:22
で、上記投稿の後、ふとページ左を見て気付いたのですが、
「価格Bomb!」はもとよりAsahiパソコン自体がすでに休刊しておりますね(苦笑)。
投稿: かくた | 2006/05/23 01:28
ウェブ魚拓というサービスで朝日の広告紹介ページをキャッシュしてみました。
http://megalodon.jp/?url=http://www.asahi.com/information/&date=20060523014511
リンク切れがないので安心。
投稿: 小田嶋 | 2006/05/23 01:46
会社にいて個人的に感じたことは、企業のCMが企業内の人間とは別の空間で、電通とか博報堂とかの人たちの手によって、勝手にイメージされ、勝手に作られ、いつの間にか世間に流出していたなぁということでした。もちろん、広報部とかの社内の人間がCMを作る過程においてある程度関わってはいるのですが、なんとなく受身で主導権は広告屋にある感じがしていました。でも、CMを見る人は当然その企業のCMと見るわけで、その会社の方針なり意志なりが投影された形として捉えるのだなぁという違和感があり、当然のことなのかも知れないけど、不思議な感じはしてました。朝日も案外そんな風だったりして、とも思えたり。違うかもしれないけど。
投稿: りん | 2006/05/23 01:58
民主党も間違っていたとは思いませんけどね
国会では国会議員の免責特権を与えて、不正の追求に
多少の失敗があっても許して、その活動を保証をしてるわけですからね
むしろあの程度のことを大問題に仕立て上げるマスコミの体質、それに乗っかる人間の卑しさばかりが
目立ちましたけどね
投稿: けん | 2006/05/23 08:36
>りんさま、
おっしゃるように、確かに広告屋主導なんだと思います。しかし、もし広告屋が優秀だとしたら、彼らは患者オリエンテッドな精神分析医、あるいは手だれの幇間なので、患者ないしは旦那(あ、どちらもクライアントでいいのか)の本質を見抜いて具現化するんですよね? そういう意味では朝日担当の広告屋、存外優秀なのではないでしょうか。
投稿: k | 2006/05/23 13:57
1stkissに言葉が要らなかったのを思い出すんですよね。
投稿: ã¡ã«ãã³ã²ãããã¯ã | 2006/05/23 14:10
このCMは読者視聴者向けじゃなくて、朝日新聞社の社員とその家族向けのものでしょ。
給料の上げ幅が小さくなったのかボーナスが下がったのか予算削減で経費が使えなくなったかで
社内の不満が高まった状態を沈静化させる為のものじゃないかな、と。
投稿: おめだ | 2006/05/23 16:26
最後の落ちは”パンドラの箱”に引っ掛けてるのかなとも思いましたが、と言うことは朝日新聞は魑魅魍魎がぎっしり詰まった宝箱ってことで、あながち外れていないのでは(笑)
自分に自信のない奴ほどよく吼えると言いますが、よっぽど自分の”言葉のチカラ”に自信がないんでしょうかね。
確かに石原先生や戸塚先生の方がずっと自信がありそうだ。戸塚先生は朝礼で「私は暴力のチカラを信じている。」とわざわざ言ったりはしないで、いきなり生徒をシバクでしょう。なぜなら彼は心から”暴力”の力を信じてますから(笑)
投稿: サイボーグMSX | 2006/05/23 17:44
石原ってあの盗作作家ですか?
「太陽の季節」の主人公の台詞が山岡宗八の
織田信長のぱくりですってね
男根で障子破くのも、武田信玄その他の逸話に出てきて、「異形の人」のぱくりですって?
まあ社会では全く必要としていませんし、役にたった
こともありませんからどうでもいい人ではありますが
投稿: けん | 2006/05/23 18:55
ハイそこ、煽らないw
投稿: F1 | 2006/05/23 19:11
そのCMを耳にした時、一瞬富士写真フィルムのCM新バージョンかと思いました。オノ・ヨーコの語りで「写真は○○、写真は××、写真は……」というやつです。
投稿: 丹沢山人 | 2006/05/23 19:35
言葉は・・・ぶっちゃけ飯の種。
それだけの事でしょう。
ついでに言うと、
写真は・・・出歯亀。
投稿: AsahiSucks | 2006/05/23 20:30
「わたしは言葉の力を信じています」
吉永小百合に見つめられてこう言われたら、結構ぐっときますが・・・
投稿: よし | 2006/05/23 23:47
みてしまいました、朝日の新CM(なぜかフジテレビ系で)。怖かったです。前のCMも怖かったが、今度のも怖い。ジャーナリズムとセンチメンタリズムを混同されると、臆病な私はほんとに怖い。今度戦争を起こすのもやはり朝日なのか。などと陳腐な感想も浮かんでしまう。発泡酒の、もとJリーグ監督が「(日本代表)勝てるんですかね・・」という小声に対して、ヒステリックに「勝つにきまってるでしょ!」と叫ぶCMも怖い。こういう人こそを「勝ち組」と呼ぶべきでしょう。TVつけてるだけで心臓に悪い。
投稿: k | 2006/05/24 02:33
>よしさん
それ、次のAQUOS(液晶ハイビジョンテレビ)のCMに使えますね…
投稿: ã¡ã«ãã³ã²ãããã¯ã | 2006/05/24 05:17
朝日新聞の「ジャーナリスト宣言」が不評だった主因は「クサかった」
からでもわかりにくかったかたでもないと思うのですが。朝日新聞が
ジャーナリストと自称するのは、それこそ江原啓之がいっぱしの宗教
家・教導者を騙るような滑稽さがあるからだと思えます。
そういえば、マスコミがいう「わかりにくい」という自信なさげな批
評自体、腰がヨロけているみたいでジャーナリストらしからぬ表現。
投稿: aiu | 2006/05/26 01:14
ま、朝日のエライさんは本気で「いいねえー」と思ってて、現場の人間は「なんかよくわかんないCMやっちゃってるなー」と思う、どこにでもある企業広告の構図じゃないでしょか。拙にとっては嫌いな新聞がイヤな広告打っているだけなので、バランスとれてていいです。あのCMシリーズ自体への感想はやはり、「うへー」です。
投稿: 木枯老人 | 2006/05/27 23:36
>前回の「ジャーナリスト宣言」のCMへの囂々たる悪評
ギョーカイ的にはウケがよろしかったようで(↓
本社「ジャーナリスト宣言。」が広告電通賞の年間特別賞
http://www.asahi.com/national/update/0529/TKY200605290311.html?ref=rss
>朝日新聞社が「言葉のチカラ」をキーワードに、今年1月から実施した「ジャーナリス
>ト宣言。」キャンペーンの広告が、第59回広告電通賞の「年間特別賞」に決まった。
>新聞、ポスター、テレビ各部門でも優秀作品賞となった。同特別賞は、社会的に話題に
>なった広告作品の広告主に贈られる。(後略)
投稿: truly_false | 2006/05/29 19:28
マスコミは「物事の評価は我々が書いた文章でどうにでもできる」と考えている。
ゆえに「自分は素晴らしい」と書けば相手は自分のことを素晴らしいと思わせることができる。
その文章を書いたのが素晴らしい自分なのだから、それが書いた「自分は素晴らしい」という言葉を疑う者はいるわけがない。
と朝日新聞は考えているのでしょう。
投稿: 万打無 | 2006/06/14 17:31
未見の方は、テレビ CM をどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=eAbVx5y2UFs
最初は嫌悪感でとても直視できなかったのですが、登場人物のキャラクターとしゃべらせているコトバとの関係に薄っぺらなあざとさを感じてからは、意外と抵抗がなくなりました。
投稿: centromezzo | 2006/10/22 03:03