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2006/02/28

ウソの壁

 失敗を認めることは、そんなに難しいミッションではない。
 頭を下げることも、ふつうの大人ならやってできないことではない。
 でも、自分のウソを認めることは、これは、とんでもなくむずかしい。
 というよりも、非を認めることや謝罪をすることは、やり方とタイミング次第では、男を上げることにつながる。とすれば、それらは、難しいとかやさしいということとは別に、社会人として生きていくために身につけておくべき基本的なプロトコルでもある。
 一方、自分がウソつきであることを認めて、なお人としての威厳を保つことは、不可能に近い。なんとなれば、つき通せなかったウソは、バレたものであれ、白状したものであれ、どっちみち最悪だからだ。
 
 何が言いたいのかと言うと、つまり、このたびの「@堀江メール騒動」において民主党執行部が展開した強気一点張りの対応の裏には、ウソが介在している、ということだ。最初の段階でウソをついてしまったために、以後、撤退という選択肢を無くしてしまった、と、そういうふうに考えないと、あの一連のバカな態度について、合理的な説明がつかないわけですよ。

 たとえば、永田議員の質問が単純な勇み足に過ぎなかったのなら、民主党とて、比較的早い段階で謝っていたと思う。
「ごめん、言い過ぎた」
 で済むわけだし。
 その勇み足の質問に、党執行部がうかつにも乗っかったのだとしても、そのうかつさや軽薄さのうしろに嘘が含まれていなかったのなら
「ごめん、勘違いだった」
 と、早い段階で謝罪して、撤退することが可能だった。
 でも、彼らは謝ることができなかった。
 非を認めることもできなかった。
 論点をそらしたり、逆ギレしてみせたり、虚勢を張ったり、胆力のあるところを見せようとしたり、そういう努力は繰り返していたが、自らの誤りを認めるという、最も基本的な一番最初の仕事に、まったく手をつけることができないままここまで来てしまった。
 なぜか?
 嘘をついていたからだ。
 おそらく、堀江メールの一番最初のところに嘘があった。で、その嘘を見破られないために、さらに嘘を塗り固めてしまった。
 と、これはもう撤退できない。
 最初の嘘(つまり、メールそのものが捏造であることを永田議員自身が知っていたということ)を隠蔽するためには、「情報源の身の安全を守る」だとかいった子供っぽいプロットが必要になるわけだし、その話の不自然さを糊塗するには、「われわれはさらに決定的な証拠を握っている」ぐらいのフカシをいれねばならなくなる。
 と、ここまでやったら、もう撤退は不可能。
「巨悪が」
 式の、少年探偵団ストーリーを振り回し、あるいは
「報告は伺っております」
 と、木で鼻をくくったような答弁を繰り返したり
「闇の勢力が……」
 みたいな陰謀論を持ってくるほかに、どうしようもなかったわけだ。

 28日の記者会見において、民主党は、どのあたりに防衛ラインを引くのだろうか。

  • 永田はだまされていた。
  • 執行部は永田を信用した。
  • が、不幸にして、メールの信用性を証明することができなかった。
  • とはいえ、武部次男の疑惑が消えたわけではない。

 と、こんな都合の良いところで済むのだと思っているのだとしたら、彼らも考えが甘い。
 この期に及んでそんな「二人っきりで一晩を過ごしたのは事実ですが、トランプをやっていただけです」みたいな話をしたところで、誰も納得しない。傷口を広げるだけだ。
 といって、

  • すんません、ウソついてました。
  • 永田がメールを捏造してました。
  • 党首脳も、途中からそのウソに乗っかってしまいました。
  • うん。カッコつけちゃっただけで、悪気はなかったんだ。ごめんよ。

 と、ここまで認めてしまったら、永田辞職、野田更迭、前原辞任は避けられない。
 退くも地獄、進むも地獄。
 どうするんでしょうね。

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コメント

 前原以下、民主党幹部全員が「ウソでした。ガセネタだと思ったけど攻撃材料が他になかったから乗っかりました」と認めたら、少なくとも前原は辞職でしょう。
 もしもウソじゃないとしたら、何の補強証拠もない墨塗りメールを見て、「不正資金提供の証拠だ」と頭から信じ込んだということで、民主党幹部は全員ボンクラで、国政を任せられる人材じゃないってことになる。
 王手飛車取りみたいなもので、どちらにしても負けです。

投稿: Inoue | 2006/02/28 08:54

いまだに「メールの受信日時が」なんて言っているところが
香ばしすぎます。TVで擁護に回っている民主党の議員が
いますが、同考えても全部逆効果な内容。特に河○議員
なんかは「なるほど、これじゃあ党首選立候補に必要な20人
がなかなか集まらないわけだ」と納得できてしまうようなレベルです。

投稿: しん | 2006/02/28 09:49

これが「ミンスのチョンボ」だと思えば、確かに「地獄」なのでしょうが、4点セットでお先真っ暗な連中を助けるための八百長だと考えたら、どうでしょうか?(その先にあるのは、松下なみなさんが参加する「大連立」ですね)
原口クソの「陰謀のセオリー」よりはよほど真実味があるような気がするんですが。

投稿: passerby | 2006/02/28 14:31

最初の時点で捏造だと思っていたかどうかなんて、どこまで行っても当人(達)しかわかりようがないんだから、初期段階なら、
ゴメン、勘違いでした→でも嘘ではないですよ(実は知ってたけどねプギャー)

という選択肢もあったと思いますが。
そこで誰かが寝返るメリットも無いわけですしね。

したがって、「この展開になったこと=最初から捏造であったと知っていたはず」というロジックには隙があると思います。

いかがでしょうか?

投稿: あるジェフサポ | 2006/02/28 21:03

「前原代表、あなたが言っていた『確証』とは一体何だったのですか?」
「『確証がある』という報告です」

投稿: tetsuya | 2006/03/01 12:48

退屈な記者会見でした。

暴れたら困るから、きつい質問なしね、とか言われてたんでしょうか。

   ジャナ宣の 朝日もしずむ 永田町

投稿: よし | 2006/03/01 14:50

一番甘いラインで守ろうとして、結果的には党首辞任まで追い込まれて(というか自主的に転進して)しまいました。これでも党組織の空中分解に至らなかっただけよかったってことなんでしょうか。

進んでたつもりが退いてて地獄だなんて、もうなにがなんだか〆

投稿: バカヤマびと | 2006/03/31 14:25

永田さんがメールをねつ造したと断言できる根拠は何なのでしょう?ねつ造して、ハッタリで国会質問などできるのでしょうか?また、そこまでして永田さんが得られるものがあったんでしょうか?永田さんは偽メールを掴まされたと私は考えています。偽メールは当時、自民党にも出回っていたものなんですけど。それを永田寿康がねつ造したんですかねぇ?メールをねつ造したのは詐欺師の西澤孝で、永田さんはその西澤を信用してしまった経緯に、議員秘書同士の紹介があり、全国紙の記者の存在もあったそうなのですが… 永田さんは騙された被害者であり、民主党の犠牲者だと思うのですが… 何か違う点があったらどなたかご指摘いただけませんか?永田さんはマスコミからも偏った報道をされ、私人としての再起が果たせなかったと考えています。

投稿: はなはな | 2009/03/11 13:21

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