シャルル専用ザク
JASRACから反応が無くてさびしいので、追い打ちをば(笑)。
映画「ノッティングヒルの恋人」(←見てません)の挿入歌として有名になった「She」の歌詞&翻訳を掲載します。
映画では、エルビス・コステロのバージョンが流れたらしいのだが、オリジナルはシャルル・アズナブール。
実は、私自身てっきりコステロのオリジナルだと思っていたのだが、アズナブール先生は、「忘れじの面影」というタイトルでレコーディングしているんだそうだ。
原詞は以下のリンクで
訳詞
忘れじのおもかげ(she)
彼女は 忘れ得ぬ面影
歓喜 それとも 悔恨の傷跡
尽きせぬ宝 そして 支払うべき対価
彼女は、夏が奏でる調べ
秋のもたらす冷たい風
あるいは、一日を通過する無数の出来事だろうか
彼女は美神、もしくは野獣
恩寵 または 不毛
日々を地獄ないしは天国に変える
私の夢の反映 でなければ 水面に映る微笑だろうか
否 彼女は目に見える通りではないのかもしれない
彼女自身の貝殻の裡にあっては
俗塵にあって 常に晴朗なその瞳は
誇り高く 孤高で 誰も涙を見出すことができない
彼女は 永遠を望まない愛
そしてそれは 過ぎ去った影に由来し
死に至るその瞬間まで 私に忘れることを許さない何か
彼女は生存の理由
私がなにゆえに生き、どうしてこの場所にいるかの答え
この寄せ集めの歳月の中で、ただひとつ、心を傾けるに値する対象
だから私は 彼女の笑顔を賛嘆し 涙を受け入れ
彼女にかかわるすべてを 記憶のうちに所蔵し
彼女のおもむくあらゆる場所に走り至るだろう
なぜなら彼女こそが私の人生であり、私の生きている意味は彼女だから
※許諾は、当然のことながら、シャルルの爺さんから直接もらっている。
以下、証拠というほどのものでもないが、シャルルとの会話を採録しておく。
「ムッシュ。ごぶさたをお詫びいたします。わたくしです。あなたの忠良な聴き手、タカシです」
「おお、わが極東の小さな友よ。われら二人の間をつなぐやっかいな友人フィリップ・トルシエがモロッコの代表監督に就任したのを知っているか?」
「はい。要らぬ摩擦を起こさなければ良いが、と懸念しております」
「ははは。タカーシよ。交流は摩擦の別名だ。軋轢のないところに友情は生まれない。フィリップという男は、あれはあれで友情の種なのだよ。ある意味」
「そうですね、ある意味では。ときに、パリは移民の暴動で物騒なことになっているようですが、御身はご無事ですか?」
「キミは知らないのか? 私もまた移民の息子だ。私の父親はアルメニアからやって来たのだ」
「存じ上げませんでした。申し訳ありません」
「いいのだよ。ちょっとさかのぼれば誰もが移民の子なのだから。そうでなくても、人々の魂はいつも流浪のうちにある。だからこそ、思い出の波止場として、われわれにはシャンソンが必要なのだ」
「シャルル。今日はひとつお願いがあって参りました」
「言ってみたまえ。口に出さなければ何も手に入らない」
「実はあなたの歌を引用させてほしいのです」
「私がガンダムにクレームをつけたかね?」
「……はあ? おっしゃっていることの意味がわかりませんが」
「キミの国に「ガンダム」というものがある。違うか?」
「はい、大げさなアニメ映画です」
「それにシャアという登場人物が出てくるそうじゃないか」
「ええ、キザな野郎です」
「彼のフルネームを知っているか?」
「……シャア……アズナブル……ああ」
「そう。シャア・アズナブルは私の名前をインスパイアしたものだと、弁護士が言ってきたことがある」
「おお、なんということだ……シャルル、どうかお気を悪くなさらず……」
「ははは。どうして私が気を悪くする? そのシャアという男は、あらゆることを3倍の速度で成し遂げるというではないか。素晴らしいじゃないか」
「……ええ、シャアはある意味主役ですので」
「いいかねタカーシ。心が空気なら、歌は風だ。心が動く時、風が起こる。わかるか? 恋も、情熱も、シャンソンも、すべては風なのだ。とすれば、誰が風の行方を制限できるだろう」
「しかし、ジャスラックが……」
「ん? シャイロックがどうかしたか?」
「いいえ、ジャスラックです。あなたの歌の日本における著作権を管理している財団社団法人です」
「そのジャスに言っておけ。誰も人の心を密閉することはできない。だから、君たちには、私の歌が起こす風を止めることはできない、と。なぜなら、歌は空気の振動であり、心臓の鼓動であり、魂のバイブレーションであり、それらをあえて止めることは殺人だからだ」
「シャルル。恩に着ます」
「いいか、タカーシ。3倍速だ。シャイロックが心臓のまわりの肉を要求してきたら、すぐに私に連絡しなさい。私は3倍速でニポンに飛んで、すべてのザクに指令を出す」
※訳詞だけではJASRACは釣れないかもしれないので、英語の詞も載せてみることしします。コマセコマセ。(11/11 09:45)
She (Tous Les Visages de L'Amour)
――Charles Aznavour and Herbert Kretzmer
She
May be the face I can't forget
A trace of pleasure or regret
May be my treasure or the price I have to pay
She may be the song that summer sings
May be the chill that autumn brings
May be a hundred different things
Within the measure of a day.
She
May be the beauty or the beast
May be the famine or the feast
May turn each day into a heaven or a hell
She may be the mirror of my dreams
A smile reflected in a stream
She may not be what she may seem
Inside her shell
She who always seems so happy in a crowd
Whose eyes can be so private and so proud
No one's allowed to see them when they cry
She may be the love that cannot hope to last
May come to me from shadows of the past
That I'll remember till the day I die
She
May be the reason I survive
The why and wherefore I'm alive
The one I'll care for through the rough and ready years
Me I'll take her laughter and her tears
And make them all my souvenirs
For where she goes I've got to be
The meaning of my life is
She, she, she
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コメント
こんにちは。
僕もジョージ・ハリソンの Taxman の訳詞を公開したのですが、やはりここは JASRAC が釣れるまで続けるべきでしょうか。
ちなみに、JASRAC の FAQ には、
***
訳詞したり編曲する権利については著作権法の27条で、「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。」と定められていることから分かるように、JASRACは訳詞や編曲することの許・否を出す立場にありません。
***
とありますよ。
投稿: Satoshi Tanabe | 2005/11/11 12:44
JASRACは財団法人じゃなくて、社団法人でしたね。ということで、訂正しました。
私の賢いATOKは「遮断法人」と主張しておりましたが。
ところで、JASRACとしては、当面、訳詞よりも、英語詞の方を問題にしているみたいですね。バカみたい、リンク張ればいいだけなのに。
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/8875/index.html
↑このページもJASRACのクレームで、英語詞を削除済みにしているようです。
投稿: 小田嶋 | 2005/11/11 13:23
訳詩繋がり。
http://d.hatena.ne.jp/o-tsuka/20051028#p1
投稿: Anarchy in the U.C. | 2005/11/11 14:45
あの詩はなんだっけって時に、グーグル一発で解決したら商売上がったりですからね。
大枚はたいて買ってもらわない事には。
そういえば何語で歌っているのかよく聞き取れない歌い方をする某バンドって・・・(笑
投稿: 774 | 2005/11/11 16:47
iPodなど携帯音楽プレーヤーの販売価格に、著作権者らに分配する「補償金」上乗せは見送りになりましたね。
当たり前だって感じですが、MDに補償金が上積みされていたとは知らなかった。
シャイロックじゃなかった、ジャスラックって奴は・・・
その内脳内にも課金してくるんじゃないだろうか
「君が卒業式の時に暗記した蛍の光は 当財団で管理(コード0J4-2399-1)しており、・・・」
投稿: t-mac | 2005/11/11 17:14
ガンダムファンを25年もやってきて(本放送は見てない)、シャアのセカンドネームの由来をようやく知りました。なるほど。
安彦良和氏のマンガ版ガンダム「ジ・オリジン」では、本来のシャアはジオン共和国(当時)の士官学校に入る予定のごく普通の若者で、入学直前に友人エドワウ(本名キャスバル)に爆殺されて、エドワウはシャアの名前を騙ってジオンに入国するという、無茶苦茶な設定になってます。
投稿: Inoue | 2005/11/11 17:35
Inoue さんも意外とお甘いようで。
ジオン共和国ではなくムンゾ自治共和国。
シャアを爆殺したのはキシリアの手のもので、エドワウは見殺しにしただけです。
投稿: Anarchy in the U.C. | 2005/11/11 19:30
笑福亭鶴光の「イザベル~関西篇~」についてはどうお考えでしょうか>シャルル氏
投稿: かくた | 2005/11/11 20:37
認めなくな・・・(以下略)
すいませんね、ガンダムエースは立ち読みで済ませていて、流し読みしてました。単行本になってから買おうと思ってるわけでして。
投稿: Inoue | 2005/11/11 23:52
いつも楽しんで拝見させていただいています。
まだUpされていないようですが、TBさせていただきました。私もシャイロックじゃなかったジャスラックのやり方に懐疑的なものですから。
She、アズナブールの曲だったのですね。
知りませんでした。
アズナブールはエディット・ピアフとのデュエットを聴いて、良い声の人だなぁと思っていました。
これからの「問題提起」も、心待ちにしています。
投稿: nao | 2005/11/12 01:14
タカーシとシャルルとのやりとりを読んでいると島田雅彦の初期の小説を思い出します。タカーシは島田雅彦の小説が好きなんですかね?
投稿: 5910 | 2005/11/12 04:13
シャルルアズナブールの歌ですきなもの。
風船売りの歌ですね。
「風船おじさん」が消えてしまった頃に聴きました。
「バーアルーン!バーアルーン!」
投稿: メルヘンひじきごはん | 2005/11/12 06:07
>タカーシは島田雅彦の小説が好きなんで すかね?
んなわけねーだろが。
天井床下唯我独尊がモットーのおだじまんだもの。えっへん。
小田嶋直子の代筆
投稿: あおきひとし | 2005/11/12 06:49
島田雅彦という人の小説は読んだことがありません。
私の場合、書評の仕事が発生したとか、そういう事情がない限り、基本的には、戦後生まれの作家が書いた日本の小説は読みません。
出来が悪かったら腹が立つし、出来が良かったら腹が立つからです。
そんなわけで、島田先生のエッセーは週刊誌とかで何回か拝見したことがありますが……以下略、と。
投稿: 小田嶋 | 2005/11/12 22:16
「空、見た子とか」っていうタイトルの小説があったんではなかったですかね、島田さん。パーソナリティーは好きな人ではないですけど、このタイトルセンスは好きです。中身は読んでない(¬v¬)~♪
投稿: メルヘンひじきごはん | 2005/11/12 22:41
シャイロック、いやさジャスラックにはシャレが通じないようで、
少しばかり小田島先生を心配しております。
http://www.jasrac.or.jp/release/05/11_1.html
投稿: スノーケラー | 2005/11/13 08:11
島田雅彦氏は基本的にオタク・ニート・引きこもりといった立場の人間には批判的なので、小田嶋さんとは水と油でしょうね。
投稿: Noisy | 2005/11/13 10:39
>「空、見た子とか」
島田じゃないよ、野田秀樹だよ。
投稿: pecsmo | 2005/11/13 13:05
がんがれ
超がんがれ
投稿: き | 2005/11/14 02:24
>島田じゃないよ、野田秀樹だよ。
うぉぅ!やっちまたぜ!㌧クスです。
(///)ハズカシッ☆
>シャイロック、いやさジャスラックにはシャレが通じないようで、
いえいえ。むしろ著作権がシャレなんですよ。俺はそう思います。著作権てやつで手にした金で作者達が何をしているかよく見て聞いて考えれば、自ずとそういう答に。
投稿: メルヘンひじきごはん | 2005/11/14 07:04
ちょっとだけノってきたので、ついでに俺も。
hold me, and feel me, and kiss me あなたしか救えない
わたしが壊れても 明日生まれ変われる
早送りの ビデオのような街を
ヘッドライトの流星群がよぎる
少女たちはつかの間 夢をみるよ
たかが知れてる未来を嘲笑いとばし
今夜扉を開けよう ねえ 二人で
化石のようなこの世界を砕いて
hold me, and feel me, and kiss me あなたしか救えない
わたしが壊れても 明日生まれ変われる
瞳の中きらり光った道の灯を
あなたが今教えてくれた この泪 こんなに愛しい
ゲームよりも くだらない現実に
誰もが胸の スイッチを消してゆく
少女たちは答を知っているの
誰がいちばん愛してくれているか
今夜 歴史を変えよう ネエ二人で
閉ざされていた闇の果て を目指して
hold me, and feel me, and kiss me あなたしか救えない
わたしが壊れても 明日生まれ変われる
hold me, and feel me, and kiss me あなたしか守れない
何処かで迷っても必ず辿りつける
瞳の中遠く結んだ道の火を あなたと今かんじあってる
瞬間がこんなに愛しい
hold me, and feel me, and kiss me あなたしか救えない
わたしが壊れても 明日生まれ変われる
瞳の中キラリ光った路の灯を
あなたが今教えてくれた この涙 こんなに愛しい
タイトルも歌い手さんも知りませんが。「Kanon」と関わりあるかも?つことはI've?…ゲフゲフ、し、知りませんぜ、おれぁ!
投稿: メルヘンひじきごはん | 2005/11/14 07:40
いつからここはガノタとエロゲオタのすくつになったんだ。
……私もか
投稿: Noisy | 2005/11/14 11:09
タコツボの縦断が必要だと、かの東浩紀タンもゆうていらはるじゃあ~りませんか。俺はガンダムもエロゲも好きですけど、好きなものそれだけじゃないっす。そこがポイントなんでは?
例えば、広範な知識を得るのに、大塚英志はんの本を読むと、元の表現物やムーブメントにあたらなくてもそこそこ色々わかってくるとか。ショートカットショートカット。そうしてジェネラリストを目指すのです。いぇい!その上でスペシャリストっぽなスキルを身に付けるかどうかはオプションです。
投稿: メルひじ | 2005/11/14 16:27
http://www.xfcrc.com/bblue/she.mp3
↑ここから曲をダウンロードできます
投稿: 1 | 2005/11/18 05:49
↑これはやり過ぎ。
ただの違法ダウンロードでしょう。
確かにJASRACの融通の効かない頭ガチガチなやり方には私も反対です。
が、楽曲も詩もコピーやり放題、中国のような海賊版天国になって困るのはレコード会社ばかりではなく作詞家、作曲家ほかアーティストの方々も然り、なのですから。
アーティストといってもピンキリ。
ディラン先生やアズナブール先生のように高潔な精神と生活に余裕がある方のほうが数的には少ないのではないでしょうか。
投稿: かず | 2005/11/18 11:40
http://ameblo.jp/dukkiedukkie/
上記のような騒ぎが発生しております。
今度は、訳詞だけではなく、コード進行まで書かれては如何ですか?
投稿: 十六夜 | 2005/11/18 20:26
楽譜をそのまま掲載したら、そりゃ音楽著作権の経緯から見ても問題だろうけど、耳コピしたコード進行なんてどこが著作権違反なんだろう?
と思ったけど、過去ページも見てみたら、歌詞を引用しているので、それが理由のような気もします。でも、シャ……いやジャスラックが、該当箇所ってのを指摘してくれないとわからないですけどね。
投稿: スノーケラー | 2005/11/18 20:57
1974年にSheを作曲されたときAznavourさんは50歳だったのでしょうか?こんな熱い恋心を切々と歌い上げられるのは素敵なことですね。名曲です。
Kretzmerさんが作詞されているそうですが、song that summer singsのsummerところは、Solomonではないでしょうか?旧約聖書のSong of Solomon(雅歌;恋の歌を集めたもの)に書かれている賢い王が溺れた愛の問答のことを指しているのかな・・・と勝手に想像してしまいました。
投稿: L | 2005/11/19 11:17
余談で。
ご存知の方も多いと思いますが。
ビートルズ楽曲をメタリカ風に演奏するパロディ・バンド、Beatallica。
出版社からのクレームがついた時に助け舟を出してくれたのがメタリカのドラマー、Lars氏。
やはり本人オッケーは必須のようで……。(ビートルズ側ぢゃないけど)
http://www.mtv.com/news/articles/1498194/20050316/metallica.jhtml?headlines=true
http://www.beatallica.com/
現在もまだ元気に活動してるみたいですね。
JASRACに大岡裁きを期待するのは無理か。
投稿: かず | 2005/11/19 13:50
>>メルヘンひじきごはん さん
>タイトルも歌い手さんも知りませんが
それは米倉千尋さんの「FEEL ME」って曲です
Dreamcastの「REVIVE…~蘇生~」オープニングテーマです、
僕もKanon経由で知った曲なのでおそらく同じ作品で知ったんだろうなと思ってレスします。
たまたま検索で来て、ついついのレスなのでまずかったら消してください。
投稿: いずと | 2005/11/25 15:39