« ID | トップページ | ジャイアンの周辺 »

2005/10/02

友情と人生(笑)

 以下は、9月30日のエントリー、「微苦笑道」へのコメントに対する返事です。
 長くなったので、項目を立てます。

 事態の矮小化ってあなたね(笑)、30年前のお話ですよ。しかも高校一年生が、昔なじみの友だちをニックネームでからかったというほとんど牧歌的なエピソードです(←どうせ「牧歌的」にかみつくヒトが出てくるんだろうけど)。
 当件は、紳助の事件とは違います。違法性のある物理的な暴力を行使したわけでもなければ、受忍限度を超えた罵詈雑言を執拗に繰り返して相手をいたぶったというのでもありません。

 もちろん、他人の肉体的特徴を揶揄することはほめられた態度ではないでしょう。
 が、ほめられたことではないにもかかわらず、それが、「よくある話」であることは事実です。
 いいですか?
 私は「よくある話」だから許せ、と言ったのではありません。「よくある話」だから無罪だ、と主張しているのでもありません。
 友人Mを擁護してもいない。「ちょっと厭なヤツでした」「残酷なところのある男だった」と、書いています。
 その上で、あくまでも程度問題として、このレベルのトラブルを「時効」「よくあるひどい話」と評価しているだけのことです。
 決して暴力を免罪しているのでもなければ、いじめを肯定しているのでもない。ふつうに読めばわかるはずです。

 人間と人間が付き合う以上、当然、軋轢はある。誤解に基づく摩擦もあるし、感情的な行き違いもあります。ましてティーンエイジャー同士なら、意図的であれそうでないのであれ、互いに傷つけ合うことは、決して珍しいなりゆきではありません。
 だからこそ、「自戒をこめて」という前言を振った上で、私は、お笑いネタの扱いと言葉の使い方について語ったわけです。

 言葉が批評性を持つ以上、それが他者に不快感を与える可能性は排除できません。はやい話が、私自身、自分のブログのコメント欄に匿名で書き込まれる言葉に対してちょっとムっとしていたりするわけですから。
 でも、私は、
「オレは傷ついた。これは暴力だ。謝罪を要求する」
 とは言いませんよ。
 ムダですから。
 それに、軋轢を乗り越えて付き合って行くからこそ、人と人は友だちになれる……って、武田鉄矢の言い草だな、これはまるで(笑)。

 私は、暴力を好みません。
 というのも、かつて暴力の被害者(中学の教師に何百発も殴られました)であった経験を持っているし、一貫して非力な側の人間でしたから。
 ですから、そこいらへんのオヤジの腕力自慢や子供の強がりにさえ、不快感を感じるテの人間に育ったわけです。幸か不幸か。
 
 ただ、若い人たちの間に、暴力賛美や腕力への傾倒が広がっている背景には、一部の人々が依って立っている「弱者利権」が、あんまり偽善的に過ぎるという事情があるとは思っています。
「人権、弱者、抑圧、被害といったような言葉をネタに個人や組織を恫喝している人々に対する苛立ち」といったらまた誤解を受けるかもしれませんが、行き過ぎた人権合唱団が、良心的な人々をもうんざりさせているということについて、わたくしどもの文明社会は、一度真剣に考えてみるべきではないのでしょうか。ご静聴ありがとう。

 

|

« ID | トップページ | ジャイアンの周辺 »

コメント

なんか自己弁護に酔いしれてますが「弱者」のコラム読んでみ。

もともとのコラムでは交通弱者でM氏の柄の悪さに触れ
→「彼の名誉のために、もうひとつエピソードを紹介しておく」
→「なかなか面白い男でもあった」
→で、アタマ君のエピソード
という文章構成を見る限り小田嶋氏はアタマ君へのM氏の言動を
面白いものとして書いてますよね。擁護してないどころか
Mを絶賛モードでしょw

本当にMは面白いならそれで突き通せばヨカッタと思うが
小田嶋氏が変に自己弁護を図るあまり、笑いの構造論的な話に摩り替えたり
アタマ氏は社会化できたはずなどと支離滅裂な話をしてるから
変だなぁと思っただけですョ。紳助事件と比べるのもナンセンス。
法に触れなくても、よくある話だとしても、それをM氏の面白い
エピソードにする感覚が理解できません。

で、あなたに疑問を持つ人間が「行き過ぎた人権合唱団」で
あなたが「良心的な人」ですか。今度は小田嶋氏が被害者ですね。
いいなぁ、すぐこういう図式を持ち出すあたりw
それも「笑える話」ですよね?

投稿: あれ | 2005/10/02 23:05

 ん?
 私が自己弁護に酔いしれている、と?
 ……
 寝よ。

投稿: 小田嶋 | 2005/10/02 23:23

ネットって、変な人がくっついてくるのを避けられないという点だけが、決定的に不便ですね。

考えの足りない変なコメントは、小田嶋さん以外の大多数の読者にとっても変だと受け止められているはずだと思って、放置されればいいと思うのですが。応戦しなきゃいけないようなレベルの攻撃でもないじゃないし。
ブログでは自分が王様。そうでなきゃやってられないって、ご自身で書いてるじゃないですか。
その通りだと思いますよ。

投稿: 凡人 | 2005/10/02 23:45

>攻撃でもないじゃないし
は、
「攻撃でもないし」ですね。

消し忘れですが、文脈を読み誤りかねないミスをしてしまいました。すみません。

投稿: 凡人 | 2005/10/02 23:47

私も凡人さんにほぼ同感です。
上の小田嶋氏の内容は非常にわかりやすく、且つ論理的であると思います。
よってこれ以上応戦されるのは時間の無駄です。
現実社会においても、ときとして物事をわかっている人こそがなぜだか非難の対象になってしまっているような事態にたまに出くわしますが、まさにそういった状況を見ているようです。
そもそも同じ壇上での議論になっていないですよね。
以前、ある著名な方がブログでのコメント欄を荒らされ、その結果コメント欄のみを排除するという手段を取られていましたが、賢明な判断だなぁと思ったことがあります。
ここもいずれはそうなる可能性があるのかも知れないですね。
とにかく、この議論自体がそろそろ時効ではないでしょうか。

投稿: ありん | 2005/10/03 00:11

あ〜、私10年来の小田嶋コラムファンなんですけどね。
(もちろん「人はなぜ学歴に…」も「インヒズオウン…」も買いました)
あの「弱者」のとこだけはあんまり笑えなかったです。
まあ、私自身が身体的特徴をネタに虐められた経験がある(頭でっかちであることを含めて)からでしょうけど。

未だに思い出すとちょっと憂鬱にはなります。
また、自分も逆に他人の身体的特徴をネタに虐めをやったなぁ、なんて事を思い浮かべて、余計ブルーになったりもします(苦笑)。

別にM氏を絶賛してるとかは思わないし、その後の「微苦笑道」や「友情と人生(笑)」の内容には同意するんですが。

そういうコラムがたまにあってもいいか、と言う感じでしょうか。

投稿: ノラネコ | 2005/10/03 01:10

うーむ……結局は絶対に埋まらない認識の差という奴でしょうかね。

私自身、最初のエントリ(弱者)を読んでまったく笑えなかった訳ではないです。
殺伐としたものを感じながらも、「ひでー話だなあ」と苦笑してましたから。
また「微苦笑道」についても、本文の内容は頷けるものでした。
ただ、以降のえいじ氏のコメントとそれに対する亭主のレスには、正直かなりムカつきました。

私の個人的な体験について詳細は書きませんが、今でも20年以上も前のいじめられっ子としての経験を夢で反復して、目が覚めることがしばしばあります。
そのたびに、汗びっしょりになった布団の中で誓うのです。

「今度夢に出てきたら、絶対に殺してやる」と……(あくまで「夢に出てきたら」ということにしておきます。一応)。

こんな私を、「いまだに精神が中学生段階から成長しておらず、社会人失格」だと非難するなら、それは正解かもしれません。
しかし、あえて理想論を申し上げるなら、教育の場から社会へと出る過程で糾弾・矯正されるべきなのは、むしろM少年のような人格なのでは?
もちろん、現実にはそのような教育は行われていませんし、可能であるかどうかもわかりません。
かくしてMのような名もなき多くの少年少女が、その嗜虐性を損なうことなく成人し、社会は残酷なままである……と。

現在のM氏がどんな大人になっているのか、私には知る由もありません。
ですが、せめて彼ぐらいは人格者に成長して、皆に信頼される立派な○○○(←削除されていたので職業は伏せ字にしました)となっていることを願うばかりです。
そうでないと、彼がこの世に生を受けてから種をまいて栽培し、そして今でもしっかりと根を張っている、数百数千の布団の中の殺意が浮かばれません。

投稿: Noisy | 2005/10/03 02:28

自分も、ネタ的には“アタマ”君と同様で(文字どおり“アタマ”と呼ばれたこともあった)、小1から中3に至るまでイジられてきたクチだけど、それは、あくまで学校内であっても、“非公式”の場でのことで、高1で、それも“公式”の場で皿し者にするってのは、正直どうかと。自分は、キャラ的に道化られたほうだったし、長年のことだったので、それほどこたえたことはなかったけど、それでも、高1の“公式”の場で皿されたりでもしたら、かなりこたえたと思う。

投稿: truely_false | 2005/10/03 10:35

すこし過敏に反応しすぎなんじゃないですかね。
小田嶋氏はいじめを肯定しているわけでもなければM氏を擁護もしていないじゃない。

小田嶋氏が言うとおり、これは
>よくあるひどい話
なワケでしょ。

なのに
>教育の場から社会へと出る過程で糾弾・矯正されるべきなのは、
>むしろM少年のような人格なのでは?
とか、
>数百数千の布団の中の殺意
とか。

人格まで否定されちゃうんですか?
(布団の中とはいえ)殺したくなっちゃうんですか?
そこまで過激な表現を使うほどの憎悪がありますか?

私にとってもM氏のような奴はいるけど、
そうゆう人間とは二度と会いたくないとは思っても、殺意までは感じないけどなあ。

投稿: nao | 2005/10/03 11:56

大人って本当に存在するんですかね?
三十過ぎて、思いますよ。
私の心は中坊レベルですね。
でもさすがにそれでは差し障りがあるので
大人を演じています。今風に言えば
「大人プレイ」でしょうか。

皆さんは大人なんですか。そうですか
おめでとう。うらやましくないけど

投稿: slider | 2005/10/03 12:12

普段は小田嶋さんのご意見は、フムフムと
うなづいたり、ニヤッとしながら8割方賛同して
拝見しております。
が、今回の「アタマ」の件、思い出のお話から
言い訳(と聞こえる)コメントまでは全く納得できません。
当方自身が頭デカというアドバンテージがあるからかもしれませんが・・
饒舌すぎて、いつもの小田嶋節の歯切れが悪く感じます

私がのぞいている2ちゃんのあるスレで「祭り」になりかけました。
でもご安心ください。一時だけで、沈静化したようです。
小田嶋さんご自身の画像もリンクされてました。
少しは心痛んで欲しいです。

投稿: 頭デカ | 2005/10/03 17:44

 あのさ。
「よくあるひどい話だ、なんてのは、やった側の云うことだ。やられた側は傷ついてるぞ。謝れ!」とか言われることほど、「オレは傷ついてなんかいないオレはそんなことで傷ついたりしないオレは少なくとももう傷ついてなんかいない!」って自分に言い聞かせてる人間にとって残酷な言葉はないと思うんだけど。
「ひっでぇ話だなぁ。困ったことに、よくあることなんだけどさ!」
 ぐらいに笑い飛ばしてくれたほうが、
「まったくだよハハハ」
 と返せて気楽だと思うんだけどなぁ。

投稿: D | 2005/10/03 19:54

ん~…。これが、中1のガキのやったことなら、確かに、笑い飛ばせたろうけど、高1がやったこととなると、引っかかるところはある。あの歳で、そういったことへの分別がないってのは、少々キツいんではないかという。小田嶋さんが、そのことを承知していることは分かってるけど。

投稿: truely_false | 2005/10/03 21:21

webサイトでは自分が王様、だから面白い。
ブログでは王様は民衆に足を引っ張られるから、面白く
なりきれない。
小田嶋さん20年近いファンですが、ブログでは、切れ味が
悪く、それがますます加速してる気はします。
まぁ、ブログじゃなきゃ更新意欲が湧かない、と言われて
はそれまでですが⋯

投稿: a | 2005/10/05 01:27

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 友情と人生(笑):

« ID | トップページ | ジャイアンの周辺 »