涼しいので、久々に自転車で遠出。
荒川河川敷の舗装路を川下に向かって走る。平日は人が少なくて気持ちが良い。
途中、扇大橋のあたりで、豚を連れた散歩者に遭遇。思わず徐行。
「ぶ、ぶた……?」
という私の好奇の目を、しかし、ピッグキーパー氏(30代男性)は、受け止めない。静かに視線を動かして、彼方の雲を見上げている。どうやら
「オレたちにかまわないでくれ」
ということのようだ。
気持ちはわかる。私も、イグアナを飼う者として、時にそういう状態(←「興味本意の質問は勘弁してくれ」)に陥ることがある。
エキゾチックアニマルの飼育者は、なによりもまず世間の無理解と闘わねばならない。
「豚を飼っている人」
「豚飼いの○○さん」
「私的養豚業者の○ちゃん」
おそらく、ピギー氏の周辺には、心ない好奇の声が渦巻いていることと思う。
偏見に負けずがんばってほしい。
ちなみに、ぶた君は、体長60センチほどの小型ペット用品種のようだった。白地に茶の斑紋(←「煩悶」@ATOK2005)。胴輪を装着して悠然と歩く姿には、家畜ばなれした風格があった。
※「家畜ばなれ」で思い出したが、家畜を意味する英語”livestock”は、なんというのか、むごたらしい響きのある言葉ですね。
直訳すると「生ける備蓄」「歩く保存食料」みたいな感じ。
いや、たしかに、牛くんや豚くんは、存命中に既にして畜肉であるのだろうし、西洋ではあのテの生き物は、神が人間の食料として創造なされたタマモノである的な受けとめられかたをしているのだろうけれども。
でも、たとえば、イルカとかクジラとかに対して示してみせる優しさの、10分の一でもいいから、豚くんに……
まあ、いいか。おそらく、遊牧の人たちはオレら農耕民の末裔とはDNAレベルで頭の構造が違うんだろうから、こういうことで議論をするのはムダだな。
結局、千住新橋のたもとまで行く。地図で確認すると片道約10キロ。
※北千住駅周辺の商店街には「祝つくばエクスプレス開通」の旗が三々五々飾られている。
うむ。盛り上がっているようだ。
うちの近所に南北線が開通した時の、赤羽民たちの冷淡さと比べると、うそのようだ。
さすがは伝統の宿場町と言うべきか、この町に住む人々の血液には、交通の要衝に暮らす住人ならではの、強力な鉄分が含まれているのかもしれない。
私自身は鉄道方面に趣味を持つ人間ではないが、新しい路線に開通されたりすると弱い。
近いうちに乗ってみようかな、と、ちょっと心が動く。沿線に行き先があるわけではないが。
帰路はひたすらに走る。
この春入手したiPodシャッフルのおかげで、走るだけの自転車行が苦にならない。素晴らしい。
岩淵水門近くの土手から、左右を見渡すと、向こう岸の川口駅近辺のビル建設ラッシュが目につく。
川口のビルは、新しく、大きく、そして高い。
一方、赤羽側のビルは、一体に、古く、小さく、低い。
なんだか向こうがマンハッタンで、こっちがブルックリンみたいな感じ。
まあ、仕方がないか。
たぶん、20年もすれば、川口の方が断然モダンな町になっているだろう。いや、現状でも既に川口の勝ちかもしれない。
しかし、オレらには奥の手がある。
江戸は、開都以来およそ30年に一度ぐらいのサイクルで、丸焼けになっていたんだそうだが、そのタイミングは、ちょうど開発が行き詰まってきた頃に大火が起きるという具合いで、経済の最活性化にとって最適だったらしい。
東京も同じだ。
明治からこっち、震災、戦災……と、ワンジェネレーションごとに破壊と再生を繰り返してきた。
前の戦争が終わってからのこの60年ほどは、例外的な無事が続いているが、なあに、一回トバしたと思えば良い。じきにデカいのが来る。
地震か、戦争か、あるいはUFOとかがやってくるのか、何が来るのであれ、川向こうのちましました開発計画は、その時点で白紙だよ、と。
午後4時過ぎに帰宅。
2時間ほど昼寝。
楽隠居だな。まるで。
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