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2005/05/24

参拝処理

呉副首相、小泉首相との会談中止 「緊急の公務」と帰国

 困ったことだ。
 思うに、今回のトラブルに限らず、東アジアの諸国とわが国の間にわだかまっている問題は、歴史だとか文化だとかいった高級なお話ではない。
 単にメンツの問題。要するに双方のトップがカッコをつけてるだけなんだと思う。
 とはいえ、程度の低いメンツの問題であるからこそ、容易に妥協点が見い出せないというのもまた事実ではある。
 領土や経済問題のような、真に重要かつフェータルな問題については、必ずや妥協点がある。というよりも、双方とも妥協せざるを得ない。最終的な妥協点にたどり着けなくても、暫定的な妥協線は、常にあらゆる時点で必要とされる。だって、カッコつけて貧乏するわけにはいかないし、メンツだけのために戦争をやるわけにもいかないから。
 でも、靖国みたいな、本質的にはどっちでも良い形式オンリーの問題については、かえって妥協ができない。
 なぜかって?
 政治ショーに過ぎないからだよ。
 そして、小泉さんも胡錦涛も、しょせんはショーダンサーであって、政治家じゃないからだ。
 そこで、だ。
 参拝というところから、話をズラすのがこういう場合の得策だと思う。
 つまり、中央突破が無理ならサイドに展開するという、サッカーファンにとっては当然の戦術的バリエーションですね。

 たとえば、靖国神社に産廃処理場を併設する。
 環境問題にからめれば相手を思考停止に追い込める、と。憂国の人たちも市民の人たちもコロリとダマせる。うん。いいぞ。
 最新式の英霊処理施設だとかなんとか。
 対外的には「産廃施設の視察であって、宗教的な意味はない」ぐらいのアナウンスをしつつ、しかしてその実態は公式参拝である、と。どうです?
 具体的には黒塗りでやって来た総理大臣ご一行が、参拝処理場の門をくぐった上で神社を参拝する。
 しかもこのプランの素晴らしいところは、今後、新たに発生するかもしれない平成の英霊にも対応可能な点だ。
 火葬場と産業廃棄物焼却施設を併設する。
 傍目には区別がつかない。
 でも実態は神社、と。
 ん?
「貴様は、お国に尽くして死んだ英霊の遺骨をゴミ扱いにするのか?」
 って?
 違うってば、だから英霊は英霊。ゴミはゴミ。戦犯は戦犯。ちゃんと分別処理します。合祀はしません。スープもとりません。あたりまえだけど。

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コメント

いやー、さすが先生!

運国心をいかんなく発揮されてますね。

駄洒落を組み込んだシニカルなユーモアには脱帽しました。

投稿: ワロタ | 2005/05/24 11:13

本当にこのコラムを「お気に入り」に登録して、毎日、「きょうはどーかな」と読ませていただいているのですが、「読んでて良かった」的爆笑編でございました。
 案外、官邸でも注目するのでは。今はもう冗談とマジとの区別がつかなくなっていますから。そのうち、「靖国懇」から「ご出席を賜りたい」とのご依頼があるやも知れませんので、着流しでも新調される事をお勧めいたします。
恐惶謹言

投稿: CROMA | 2005/05/24 21:44

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先月、北の丸公園に花見に行った。 おお、これがナベツネ主筆のマンションかあ、おや... [続きを読む]

受信: 2005/05/25 20:04

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