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2004/11/04

吉本言論人

 コメント欄でEさんが紹介してくださったリンクから、話題の映像を入手。
 以下は、その映像の中にあった11月3日のテレビ朝日系「やじうまプラス」での勝谷氏の発言。

「……ホントにね、たとえば今出ているウィークリーヨミウリでもオダジマナントカという人がね、こないだのやじうまのここでボクの反応を書いているんだけど《にやにやしながら10秒ぐらい触れただけだった》とかなんとか。そんなことないよね。ちゃんとあんときもコメントしたし……ホントにいいかげんなこと書くな、コノヤロー……」
 ちなみに、ここで言及されているオダジマの記事の当該部分は以下の通り。
同日朝のテレビ朝日「やじうまプラス」には、勝谷氏が生出演しており、当然、番組は、芸能ニュースのトップでこの事件に触れた。が、内容は、被害者が警察に被害届けを出した旨を伝えるのみで、ほんの10秒で次のニュースに移動。勝谷氏のコメントも、「自分は現場にいなかった」というだけ。で、なんだかニヤニヤしている。何を隠しているんだ? 記事にして稼ぐためにネタをセーブしているとかか? 

 細かい言葉尻はともかく、あの時に勝谷氏が残したコメントが、「自分は現場にいなかったから軽々にコメントできない」という内容のものだったことは事実だ。
 で、問題は、その「軽々しくコメントできない」というコメントが「きちんとしたコメント」なのか、それとも「コメントを逃げた態度」なのかというところにある。
 検証してみましょう。
 まず、勝谷氏が
「自分は、現場にいなかった以上事情を知らないわけだし、事実関係について憶測のコメントを垂れ流すわけにはいかない」
 という意味で言っている部分は、至極もっともだ。その意味では、「コメントできない」という彼のコメントは、「きちんとしたコメント」だったと言うことができる。
 しかしだ。
 勝谷氏に期待されているのが、どういう種類のコメントであるのかということを、もう少し深く考えてみると、事情は違ってくる。
「真相はどうなんですか?」
 という質問に対しては、答えなくてもよろしい。彼はそれを知り得る立場になかったわけだし、双方の関係者から色々と話を聞いていたにしても、立場上、軽々しいコメントはできない。また、彼の立場で自身の考えを述べることは、事態の混乱に拍車をかけることにもなりかねない。よって、その質問に対してはノーコメントが最もきちんとしたコメントだ、と、ここまでは認めましょう。
 でも、
「で、そのマネージャーというのは、どんな人なんですか?」
 という質問には、答えたほうがいいんではなかろうか。
 実際、メディアには、様々な形で件の女性が常識はずれだとか、空気が読めないとかいった話が流れているわけで、それを否定できるのは、勝谷氏をおいてほかにはいないわけだから。
 このあたりのことは、実は、大石英司氏が、そのblogの中で既に書いている。私がそれを読んだあとで同じことを書くとなんだかパクリみたいで気持ちが悪いので、お許しをいただいて以下にそのまま引用することにする。
大石英司の代替空港
 もう一点、たとえば、昨日「バカヤロー!」発言があった番組内でも同様の発言があったけれど、「僕の関与しないところで起きた。彼女(女性社員)の人柄について聞かれることも多いが、個人情報の漏えいになるので言わない」ということをここ数日繰り返している。
 これは全く変な話で、「人柄」って、個人情報かぁ? 違うでしょう。いやぁ、彼女は仕事熱心で生真面目で、良い相棒ですよ、と言ったら、それは個人情報ですか? 単なる誉め言葉でしょう。これじゃまるで言外に、あの女はとてもやな奴で全く使えない、でもそれ言っちゃうと個人情報になるから拙いだろう? と表明しているようなものでしょう。
 ネット上で、彼女に関して、これほど不利益情報が出ていて、それを知らんはずもない。そのほとんどは、芸能界が出所で、元を質せば吉本がばらまいているに違いないんだから。彼は、彼女を知っている個人として、いや、ネット上で言われているようなことは無いし、そんな女じゃない、と否定できるのに、それをやろうとしないのはなぜか? それはやっぱり、普段彼が罵倒している組織人間なりの深謀遠慮が作用していることはあまりにも明白であって、そこを批判されているわけでしょう。

 つまりアレだ。人柄についてのノーコメントは、これは、「コメントを逃げている」ことであり、実質的には「否定的なコメントを流している」というのと同じになるわけなのだな。
 私が、当日の「やじうまプラス」で、勝谷氏のコメントから受けた違和感の源泉も、実にこの点にある。
「いや、普通の人ですよ。少なくとも私にとってはちゃんとしたマネージャーです」
 ぐらいの発言があってしかるべきだと思って、私は画面を注視していた。
 ところが、氏はマネージャーの人品について何も言わない。
 言わない以上、この人は、このマネージャーについて自分が悪感情を抱いていると思われてもかまわないのか、でなければ、会社に気を使っているのだろう、と、まあ、そう判断したわけだ。
 そんなわけですので、吉本言論人、だな、と、そういうふうに論評してこの問題は終わり。同じ土俵の人じゃないんだから。

 コラムニストを名乗る人間が、芸能プロダクションに籍を置いて、自由な発言が展開できるものなんだろうか? ああいうしがらみの中に身を置いて、言論活動のマネジメントを興業の世界の人間に委ねて、それでもなお自分がメディアに対してフリーハンドを確保していると思い込むためには、相当に図太い神経が必要だと思う。
 少なくとも私は、吉本興業所属のコラムニストが書くメディア評をまっすぐ鵜呑みにはできない。
 だって、そうでしょ? レストラン付きのソムリエが何を言ったところで、商売の分は割り引いて聞かないと都会人とは言えないでしょうが。あるいは、葬儀屋の紹介でやってきた葬式用の坊さんに誰が心からの功徳を期待するのか――というのは、ちょっと違うか……訂正します。葬式をやるからナマグサというわけではないですね。南無阿弥陀仏。ただ、坊主にしろコラムニストにしろ、肩書きだけでお経を詠んでいられる時代ではないよ、と、そういうふうに申し上げておきましょう。合掌。
 
 実は、私にもずいぶん昔、プロダクション関連の話はあった。大手ではないし、芸能プロダクションでもないが、いわゆる文化人のエージェントみたいなことをやっている会社から、マネジメント契約をしないかともちかけられたのだ。
 どうしたのかって?
 うん。
「毅然と断った」
 と言いたいところだが、本当のところは、うじうじ迷っているうちにバブルがはじけて話が立ち消えになりました。ちょっと残念。
 でもまあ、その時に色々と考えたことは無駄ではなかったと思っている。
 ものを書く商売の人間は、基本的に原稿料で糊口をしのがなければならない。これは、世間で思われているほど簡単なことではない。
 雑誌の原稿料、書籍の著作権料という本筋の収入だけで生活を立てている物書きが、いったい日本中に何人いるんだろう。
 おそらく、たいした数にはならないと思う。
 さてしかし、作家であるとか評論家であるとかいった肩書きは、使い方次第では、そのまま換金できたりする。
 講演料というヤツだ。
 私もバブルの頃に、何回かシンポジウムの出席者だとかイベントがらみの講演だとかで非常に高額な(←原稿料と比べてということですが)ギャラをいただいたことがある。
 例の文化人エージェント会社からオファーがあったのは、そうしたシンポジウムか何かの後の打ち上げの席でのことだった。
「どうです? ウチと契約すれば、このテの仕事をどんどんお世話しますよ」
 という感じのニュアンスだった。
 あるいは、詐欺だったんだろうか?
 いまとなってはわからないが。

 さて、講演料で食うためには、一定の条件がある。
 しかるべき有能なエージェントを持っていること、または、業界に強力なコネクションを持っていること、でなければ、高い知名度が不可欠だ。
 そこでテレビ出演ですよ。
 テレビ出演自体のコストパフォーマンスについて言うなら、そのリスクと拘束時間と神経疲労に比して、振り込まれてくる文化人換算のギャラ(ありていに言えば芸能人と比べて破格に安いということ)は、たいしてありがたいものではない。
 でも、テレビ出演には、「知名度」というおまけがついてくる。
 この「知名度」というヤツは、作家評論家の肩書き以上に、およそあらゆる形での換金が可能な素晴らしい資本財なのでありまして、だからこそ勝谷氏も、「オタジマナントカという人」という、プチ有名人が無名人について言及する時に独特なニュアンスをこめた口調で語っていたわけです。
 そう、知名度。
 売文業者にとっては、シャブみたいなものだ。
 と、活字とネットの蛸壺に引きこもっているオダジマ何とかはコメントするのでした。
 というわけで、仕事に戻ります。月ハナの5日間は超売れっ子なのでね。

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コメント

どちらの言い分も面白いです。
やはり、頭のいい人の文章は面白い。

投稿: げっとまん | 2004/11/06 00:13

読んでる印象はそんな必死に反論することなのかなと。
最初に非難された側が反論するのはわかるが、
それに対して、一部話のすり替えや、都合のいい切り出しをしての
反論はどうも勝谷氏側に同情するがね。
まぁ、こういう話は最後に無視できた方の勝ちと思いますけど。
とネット弁慶の一社会人はコメントするのでしたw
(この逃げもなんかなー…)

投稿: まなべ | 2004/11/06 04:12

「なんだかニヤニヤしている」
「同じ土俵の人じゃないんだから」
「売文業者にとっては、シャブみたいなものだ」
????

「活字とネットの蛸壺に引きこもっているオダジマ何とか」
なるほど、納得。

投稿: ふくかいちょう | 2004/11/06 11:59

誤報についての謝罪どころか、ちまちま反論してるのはみっともないと思います。
吉本興業所属のコラムニストが書くメディア評を鵜呑みにできないと
書かれていますが、物事の真偽より肩書きを優先した偏見は物書きとして如何なものでしょうか?
また、レストラン付きのソムリエに対しての記述にしても、レベルの低い店にしか行ってないのではないでしょうか。小さい店でもきちんとしたソムリエを置いてる店は多数あります。
物を書く前に審美眼を磨かれてはどうかと思います。

投稿: ひで | 2004/11/06 14:30

>また、レストラン付きのソムリエに対しての記述にしても、
>レベルの低い店にしか行ってないのではないでしょうか。
>小さい店でもきちんとしたソムリエを置いてる店は多数あります。
>物を書く前に審美眼を磨かれてはどうかと思います

前半部分はごく普通の内容であるのに、この後半部分は枝葉末節をあげつらっているだけのうえに、本筋とかみ合っていませんね。(審美眼への言及は的はずれで失礼だと思います)
特定組織の所属であるものが、如何にして発言の自由さを保てるかを、実例なり論拠なりを示して反証すべきだと考えますが。

投稿: 刺青ジャック | 2004/11/07 14:37

>前半部分はごく普通の内容であるのに、この後半部分は枝葉末節をあ>げつらっているだけのうえに、本筋とかみ合っていませんね。(審美
眼への言及は的はずれで失礼だと思います)

添削して何の意味があるんですかね。

>特定組織の所属であるものが、如何にして発言の自由さを保てるか>
を、実例なり論拠なりを示して反証すべきだと考えますが。

どこにも所属していませんし、「発言の自由」って何を言ってるのか
わかりません。言論の自由はどこいっちゃたんですかね。笑
また、実例が必要なほどの内容ではないと思います。

あと、メールアドレス「jack@spamgaiyadesunode.com」
「スパムが嫌ですから」ってジョボイですね。

投稿: ひで | 2004/11/07 19:15

ははは。なるほど(笑)
丁寧なお返事どうも。

投稿: 刺青ジャック | 2004/11/08 22:35

問題のコラムのネタ元であるテレビ番組を
きちっとチェックせずに書いてしまった落ち度に対する釈明はどこに?
同業者同士だけに、譲れない意地ですか?

投稿: 野次馬 | 2004/11/09 11:03

一体、この文章で何が言いたいのでしょうか??
勝谷氏への反論?

物書きとしてのスタンスの違いを述べているだけで、
反論になっていないのでは?

なぜ、吉本にいたら言論の自由が確保できなくて、また、
なぜ、テレビに出ることに否定的なんでしょうか?
単なる妬みにしか思えませんが、この文章。
見当違いの例じゃなくて、アホーでも分かるように、
もう少し論理的に説明して欲しいですね。

なんか、頭良ろしぎるのも恥ずかしいですね。
なによりも、反論の前に自らの過ちを糺すのが普通の感覚かと思いますが。
謝罪の前に反論するというのは、反論の中身がどうであれ、
薄ら寒い思いがします。

投稿: mkitmk | 2004/11/10 01:12

いや、結局勝谷氏がその女性について一言も発言しないことが元凶ですよ。
そこを正さないでぐだぐだいうほうがおかしい。

投稿: ats | 2004/11/12 18:47

元凶って意味は?

もとのウィークリー記事にその女性のこと書いてあったのか?
この中で誤報を謝罪した社の情報を使って個人攻撃しただけでしょ。
バカを装った記事の後始末は頭いいとこ全開だね。
みっともな~。

投稿: ahoo | 2004/11/14 12:15

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