ハラスのいない日々
いつまでも紳助の記事がトップにあるのもイヤなので、ちょっと無駄話を書いておく。
昨日、イギー氏のエサを買うべく立ち寄った西友ストアで奇妙な経験をした。
経過は以下の通り。
- 午後二時ごろ、ショッピングカートを押しながら、地下一階の生鮮食料品・雑貨売り場を物色。
- トイレットペーパー、シャンプーなど、いくつかの商品をカゴに入れる。
- 色々と品物が増えるうちに、デカい荷物を持って帰るのが急に面倒になってくる。
- で、商品を棚に戻す。こういうものはもっと近いドラッグストアで買った方が得策だし。
- となると、わずかの野菜のためにレジを通るのも面倒な気がしてきて、結局何も買わずに店を出る。
- エスカレーターの前にいたおっさん(店の警備員)が、空のカゴとカートを受け取る。
- 一階に上がって、店の前に止めてあった自転車のカギをはずしていると、なぜかさっきカートとカゴを受け取ったおじさんが、こっちに向かって歩いてくる。
- 「ん? 何ですか?」という顔でおっさんの方を見ると(耳にはipodのイヤホンが入ってるんで、会話はできない)、おっさんはなぜか目をそらして通り過ぎる。
- 「ヘンなオヤジ」と思いつつ自転車を引いて歩き出す。
- 10メートルほど進んで振り返ってみるとおっさんはまだこっちを見ている。
どういうことなのだろう。
万引きか何かと間違われたのだろうか。それともオレの考え過ぎか?
まあ、確かに平日昼間の時間帯に来店する背広を着ていない中年男は、警備員からしてみれば要注意人物なのであろうし、店内を一通り歩いたあげくに何も買わないで帰るというのも、十分に疑わしい行動パターンではあるのかもしれない。
年はとりたくないものだ。これで
- 私が二十代の若者であったならば、おっさんは私を疑わなかっただろう。
- 時間が月曜日の午後二時でなかったら、おっさんは私を怪しまなかっただろう。
- 私が背広を着たリーマン姿の男であったなら、おっさんは私を追跡しなかっただろう。
つまり、アレだ。平日の昼間に歩いているカジュアルウェアの中年男は「ヘンなおじさん」だ、と、そういうことなのだな。
昔、中野孝次さんだったかが、どこかで
「犬を連れていることの利点のひとつは、真昼間に住宅街を歩いていても怪しまれないことだ」
という主旨のことを書いていた。
「白昼、住宅街を歩いただけで、自分が怪しまれていると思うのは、この人もちょっと神経症気味だな」
と、その原稿を読んだ当時、まだ二十代だった(と思う)私は、そうに思ったものだが、自分が四十台半ばを過ぎてみると、確かに世間は、自由業者のオヤジに対して変質者を見るような視線を返してくるものなのであった。
中野さん。
世間は、犬を連れていない中年男を許してくれないんですね。
オレらは、犬とワンセットではじめて一人前なんですね。
オレは、神経症でしょうか。
オレの清貧はニセモノなんでしょうか。
ハラスは元気ですか?
オレもハラスみたいな友達がほしいです。
中野さん。
男の晩年は、犬なしではキツいんでしょうか。
イグアナはダメですか?
昼間の住宅街を歩けませんか?
オレは、ヘンですか?
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コメント
イグアナはダメでしょう。
私の場合、犬ではなく、
少し物忘れが激しくなった母と一緒に散歩しています。
近所の人からは、よく挨拶をして頂けますし、
職務尋問を受けることもないでしょう。
しかし、まぁ。必要以上に善人に見られているような気がして。
これはコレでね。
嫌なものです。
投稿: はじめまして | 2004/11/03 01:38
ああ、こういうこと自分も経験ありますねぇ。
所で、ここでのもう一つのポイントは、「警備員もまた見張られている」という事実だろうと思うんですよ。警備員にした所で、その仕事の実効性を上げるよう雇用主から監視されている。でも、客の少ない真っ昼間に、万引きは少ない。そんな中で、自分たちは任務を果たしていると雇用主にアピールしなければならない。そこで、これが中年主婦なら、そこまでやられると喰って掛かられ、警備員も不愉快な思いをするけれど、いかにもな中年男性だとたぶん文句は言われないだろうという思考が作用する。
でも、オチとしては、それは実は、堤の命により、俺様に楯突くコラムニストが見張られていて、以下ry(~_~;)
投稿: えいじ | 2004/11/03 04:31
>堤の命により、俺様に楯突くコラムニストが見張られていて、以下ry(~_~;)
ははは、この見方は思いつきませんでした。
「警備員もまた見張られている」という着眼も、言われてみればなるほど、と。
投稿: 小田嶋 | 2004/11/03 07:09
私にはヤフオクとかアマゾンで古書を売るたびに、
「この包装シールに指紋がついている。もしも受取人がこれをサンプリングして犯罪現場に置いたら・・・」
とか考えて、手袋をはめないと包装できなかったり、
本屋やスーパーでレシートもらうたびに、
「これをもっていないと近所で誘拐事件や強制わいせつがおこったらアリバイを立証できないな」
とか考えたりとかして、レシートを捨てられなかったりします。
「冤罪の構図」(江川祥子)とか読むと、本当に縁もゆかりもない人が犯罪者に仕立て上げられる実例が出てくるんで、怖くなりました。
投稿: 井上 晃宏 | 2004/11/03 08:49
わたしはネコを連れて散歩に行きます。訓練の甲斐あって、今や引き綱なしで二匹までなら散歩に連れて行けるようになりました。
イグアナって、走るスピードはどれほどなんでしょう? 飼い主を識別して尻尾を振るとか、おなかを見せて愛想を振りまくとかするのでしょうか?
は虫類は飼ったことがないのでイメージが全然判らなかったりします。
ちなみにネコたちは、庭にいるカナヘビをときおり捉まえてきます。口にくわえているのを見つけた場合、ただちに保護してリリースしているんですが、どうもネコにはある種のオモチャみたいです。
投稿: みきはら | 2004/11/03 09:52
このオッサンは警備員としてはマダマダ未熟ですよね。
小田嶋さんは空身で入店されたんでしょ?
その人が空身で帰るのですから、問題ないじゃないですか?
典型的な手口は、A店で買物して、そこの袋を持ったまま
B店に入り、B店の品物を若干買いつつ、A店の袋にも品物を
入れて、レジではA店の袋は見せないというものです。
レジを通りますから、監視の目も甘くなります。
もっと大胆なのは予め大きめなバッグを用意して、其の中に
大き目の品物を放り込むという手口です。かなりの覚悟が
必要でしょう。
私が監視員なら男なんか大体無視しますね。
狙いは中年の女でしょうね。この辺が一番怪しい?
投稿: ハマの住人 | 2004/11/03 11:53
商品をもどして手ぶらで出たことで怪しまれたのなら、
爆弾テロとか毒入り食品とか?
店を出たあと、いきなり走り出したり、
仲間に目配せとかしてみたら面白かったかも。
投稿: モモ | 2004/11/04 13:00
昼下がり、カジュアルな服装で西友の食品売り場を歩く人、それは同業他社のデザイン関係部署(外注を含む)のPOP類を観察して歩く
人かも、です。小さなカメラで覗き込むように商品展示のデザインを盗撮して、表にしてレポートを作りイベント毎のSPを提案します。
投稿: かとー | 2004/11/05 23:44