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2004/09/23

イギー氏負傷

われらがバスルームドラゴン、イギー氏は、毎年、秋口にはいると落ち着きを失う。
 たぶん、発情期だと思う。伴侶となるメスを捜し歩くモードに突入するのだ。
 で、イギー氏は、勃然と異性探索活動を開始するわけなのだが、風呂場が全世界である彼にとって、探索活動は、事実上、四囲の壁をガリガリ引っかくという単純作業に百パーセント還元される。
 ガリガリ。ガリガリ。
 壁と言わず天井と言わず、イギー氏は、手足の届くあらゆる範囲に爪を立て続ける。
 昨日の夕方、ついに、イギー氏の右前足の親指(つまり、最も体側に近い指)の爪が抜けた。
 壁を引っかいたから、というよりは、おそらく一本の指だけで全体重を支えんと試みた(天井にある換気扇のフードにぶら下がった)からだ。
 かなり大量の出血。
 とりあえずシャワーを浴びせて、患部にドルマイシン軟膏を塗って、なだめる。
 それ以上、私にできることは何もない。
 
 嫁さんを世話してやりたい気持ちも無いではないのだが、それを実行すると


  1. 妊娠
  2. 出産
  3. 孵化
  4. 大家族

 という、イグアナ式拡大再生産ループが待っている。
 数十匹のイグアナの子供。
 いや、それはそれでなかなか魅力的な景色だとは思うのだが。
 ブリーダーで暮らしを立てるには、イグアナのベビーはあまりに安い(エンドユーザーにわたる最終的な小売価格で2000円から5000円程度。ってことは、卸売り価格は1000円か?)。

 といって、イグアナの去勢という話もあんまりきかないし。
 
 イギーよ。栄光ある孤立を生きろ。
 結婚だけが人生ではない。
 一人暮らしの素敵さは、独り者には理解しにくいというだけで、誰もが知っている真実だ。
 まして、イグアナの娘はどれも無表情だ。
 なあ、イギー。
 そんなに壁をひっかくなよ。
 オレがいるじゃないか。
 カボチャと小松菜と4つの壁。
 2日に一度のシャワー。
 無口な相棒。
 退屈ではあっても、穏やかな良い人生じゃないか。
 死ぬまでに一度コスタリカのジャングルを見せてやりたい、と、オレだってそう思わないわけじゃない。
 できることならそうしてやりたいさ。
 でも、ガラス鉢の中で生まれたお前は、どうせコンドルの急襲をかわすことができない。
 たぶん、ひとたまりもない。
 なに? それでもかわわない?
 四角いバスルームの人工照明の下で季節の無い十年を生きるより、
 コンドルの餌食になるまでの、たったの三日でも良いから、数十万色の朝を眺めてみたい、と?
 ああ、イギーよ。
 約束する。
 オレが直木賞を取ったら、文春の社長からモーニングを作る代金を前借りして、その金で、コスタリカ行きの片道切符を買ってやる。熱帯トカゲ用のビジネスクラス。トラクションたっぷりの垂直リクライニングシートと緑黄色野菜オンリーの新鮮な機内食。
 授賞式?
 欠席に決まってるだろ。
 8年も一緒に暮らした相棒を、そろばんずくの文学賞なんかのために見捨てるわけがないじゃないか。

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コメント

 イグアナの去勢手術ですが、事例はあります。
http://vein.ne.jp/info/reptile/lizard/iguana/data/o006_castration_01.htm">http://vein.ne.jp/info/reptile/lizard/iguana/data/o006_castration_01.htm

 トップから入れ、と出ますが、キャンセルボタンを押し、その後、ブラウザの「戻る」ボタンをクリックすると、どんなことをやるのか判ります。
 で、この手術をやったのは
http://epc-vet.com/">http://epc-vet.com/
 なので、こちらの獣医師に電話すれば状況がより確実に掴めることでしょう。
 ちなみにわたしはネコユーザーです。8匹飼っています。

投稿: みきはら | 2004/09/24 00:44

↑ うわっ(~_~;)。

 夢ん中、出てくるっす。

投稿: えいじ | 2004/09/27 23:05

ううう。たしかにキツい画像ですね。
イギー氏の負傷もかなりスプラッターでした。
でも、本人は全然平気そうです。
まあ、そもそも無表情なわけですが。

投稿: 小田嶋 | 2004/09/28 23:56

絶句。いつぞや偶然↓を見たとき以来の衝撃
http://www.realdoll.com/

投稿: ロベルト | 2004/10/01 13:51

 うーん……そんなにキツイですか。
 動画で手術を見ると、もっと凄いのですが……。
 ちなみにわたしの飼い猫のときは、肝臓をやられておりまして……開けたおなかの中をカメラがズームして、肝臓を持ち上げた上で、ドクターが感触や色つやの様子を解説してくれました。
 動物の場合、人間ほどマーカーや試薬が開発されていないため、「開けて中を見ないと断言できない」ということが相当あります。試験開腹が決めてとなるケースはけっこうあるようです。

投稿: みきはら | 2004/10/01 20:29

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